【詩】あげは蝶
右の翅がビッタリと蜘蛛の巣につかまって、
左の翅が風に煽られてゆらゆら揺れている
そのゆらめきが踊り子のようでキレイだねって
言ってくれるバッタもいない
のっそりのっそりちかづく蜘蛛
春風の甘さってどんなものだと思う?
つつじみたいなものじゃない?それだと、
さらっさらで水っぽすぎちゃう気がするんだよ
じゃあ、なのはなに近いんじゃないかな?
ちょっとねばりが強いよ。あとに残るのがクドすぎるよ
のっそりのっそりちかづく蜘蛛
わたしを食べたらどんな甘さがするのかおしえてね
キレイに外れる左の翅
舞い上がったうっすら黄色い鱗粉が、彼の毛深い脚についた
食べられるまえ、さいごに見えたけしきは、
スマホから視線を外さないおとこのこでした