ヒーロー

詩です。
ただの詩です。



手の甲に精霊紋が浮き出る英雄が、裏の森に棲みついた三つ首の魔獣を退治してからというもの、村では手の甲にひらがなを書いて遊ぶこどもが増えた
彼らは大人になって、漢字を使えるヤツが一人前、と言っている

歯みがきのあとの麦茶と100均で300円だったら
どっちの方が損した気分になる?って
ニヤケ顔のこねこが聞いてきた
街灯の蛍光灯が酩酊状態のように点滅していて、
生きていることは損しかない、って答えた
酔っ払いBのセリフはそれだけで、カメラはぐんぐん引いていって、22時の大都会を映し出す
「この夜景よりキミの方がキレイだよ」と言われると、
口からの「ありがとう」と胸の内からの「停電がくれる真の夜景は嫌いなくせに」が同時に出た
音は遠くにいるアナタまで届いて、
意味を持って重たい言葉は、ビルの上から落ちていった
重力加速度は、、、、、、と考えているうちに地面に叩きつけられた

世界中を掘り返して見つかるものが水晶の破片だけであればよかったのに
誰かの生死をショーにしてしまう人たちは高層階から見ている
ちいさいけれど確かな存在感を持っているゆずも
ニキビみたいなボツボツを抱えている
きっとヒーローも公衆トイレの洗面台でメイクを仕上げている
ヒーローに救われたことのあるやつは、ヒーローじゃない
すくなくとも、この星では



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