今はだいたい充電式
詩です。
桜は壊れながら旅をする
今年もキレイねぇ、と言っているばあちゃんがとても残酷に見えた
月の光は破損箇所から漏れ出ている
だんごを食べる暢気さなんて到底持つことができない
桜も月も、きっと充電の回数は増えている一方だろう
昔より遠くまで行くことができなくなって、
昼まで寝ていられることもなくなって、
食べられるカルビの枚数も減っていく
ここでの儀式は、一人を生贄にするものから
五歳の身体のパーツを集めて一人分にするものに変わったらしい
大人たちは、自分の時とは違って誰も犠牲にならないからいい
と楽しそうだ
失くなった左手が痛むと、とうちゃんは、それはスイジンサマが
喜んで食べて下さった証だ、と言いながら
失くなっていない左手で頭をなでてくれた
ジブリのような一瞬で美しい花畑が広がる
魔法から身を守るために、
痛みなんてはじめからなかったということにした
ちょうどくるくるした桜が月光の中を通っているところだった
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