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【詩】染み氷る

夏オブ海、の中につくった、冬オブザ氷、には縮こまった光がぎゅうぎゅう詰めになっている。局地的に刃物が降っている。ぼくの腕にも肩にも心臓にも刺さることは無くて、明かりに吸い寄せられて窓にぶつかる蝉みたいに、ぼくの骨を叩くだけ。痛みはないし、死ぬこともないけど、うるさいんだよ。音がなによりも苦痛だと知らないんか。氷は夏にではなく、蝉の声に溶かされる。夏オブ海、の中につくった、冬オブザ氷、が溶けて、日本列島が三毛猫模様。富山県型は幸運のしるし。ねえちゃんが顔にシミができるのを気にしているのを見て、メガネを外したぼくの視界には、シミしかないって気付いたんだ。神様は地球に付いたシミとして、深く根を張ったユーラシア大陸ごと、人間たちを消したいのかもしれない。シミは消したいものなのだとしたら、きみがキスをしたくてぼくのメガネを外して、ぼくの視界のきみがシミになったら、ぼくはきみを消したくなるのかな。



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