春を待つ
詩です。
朝、くつひもを結ぶときは、
左、右、左、右、の順番で
必ず蝶が二匹連続になるようにするの、
ときみが言った
ぼくは一度試したきりやることはなかったのだけれど、
蝶々夫人だね、と言って手を繋ぐようになった
けんかはだめ、と言いながら
オーバーオールを着た幼子が
蝶の交尾をちぎっていた
蝶たちは紙きれのように風に飛ばされていった
きみが電柱の陰によけてくつひもを結び直すときは
左、左、右、右、なんだなぁと思って見ていると
どこかでウグイスが鳴いた
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