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【詩】アドレシェンス

指先一つで送りこむ 線状降水帯 
飛沫をシミュレーションする スローモーション映像の動き
ニュースによると 川が氾濫して 道路が冠水して
樹を薙ぎ倒す 轟音と物量で圧倒している
襲い尽くして わたしの偉大さと 人間たちのちいささを分からせる
淡い黄白色をした教室のカーテンが、ぶわっとなびくのを見るように、
窓の外の飛雨ひうを見る。
太陽に照らされていたものに当たり散らす音は、
ぼくの脳に、無意味と判断されたのか
ちいさく届いた。もみしだかれるように揺れる樹には
途方もない時間、この星に根ざしてきたという、
激情を受け止められるだけの、余裕がある。
信仰心のない人間たちを、不快に感じて怒るとは、神様も子どもだ。

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