ダ・ヴィンチブック・オブ・ザ・イヤー投票開始！　あなたはもう読んだ？　2023年の人気トップ30を振り返ろう！

2024年9月6日 18:00

『ダ・ヴィンチ』の年末恒例大特集「BOOK OF THE YEAR」が今年も投票受付中！
ぜひあなたの「今年、いちばん良かった本」を決めて投票してみてほしい。
投票いただいた方の中から抽選で、A賞・B賞（※）合わせて35名様へのプレゼントも！
▶ 投票はこちら：https://ddnavi.com/bookoftheyear/
投票締め切り：10月6日（日）23：59

※A賞：図書カードネットギフト（2000円分）30名様、B賞：『ダ・ヴィンチ』年間購読権5名様

そしてここで改めて、昨年のダ・ヴィンチ本誌「小説」部門にどんな本がランクインしたのか、トップ30を振り返ってみることにしよう。
文：河村道子
※この記事は『ダ・ヴィンチ』2024年1月号の転載です。

1位｜『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈

止まらない物価の上昇、混迷を極める政府の経済政策、地球上のあちこちで燻る戦争の火種。“この先、いったいどうなっちゃうんだろう?”という不安が日本中を覆った昨年、世代を超えて読者の心を鷲掴みにしたのは、痛快なひとりの主人公だった。

　「閉塞感が支配する昨今だが、それを軽やかに打破する主人公には新しいヒーロー像を感じた」（40歳・男）という数多の声に押され、首位に輝いたのは、泰然と我が道を行く主人公の姿に爽快感突き抜ける、宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』。“島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う”という女子中学生・成瀬の地元愛溢れるひと言から始まる物語は、新型コロナウイルスによる行動制限が緩和された昨年、この数年間ずっと我慢していた、体験することの楽しさを、鮮やかに呼び戻してくれた。

2位｜『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光

ミステリー作家であった父の遺稿探しから始まる2位、杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』も、予測不可能なストーリー展開はもちろんのこと、「紙の本だからこそ味わえた衝撃に思わず鳥肌がたった」（32歳・女）という驚愕の“体験”に読者が沸いた。

3位｜『君のクイズ』小川哲

3位は小川哲の『君のクイズ』。昨年1月に直木賞を受賞した骨太な題材の前作『地図と拳』から一転、クイズをエンタメに昇華させた一作は「論理的思考が極度にすぐれた人の思考回路を疑似体験できて独特な快感」（35歳・女）と、脳感覚に直結する読書を堪能させてくれた。

4位・京極夏彦『鵼の碑』は「百鬼夜行」シリーズ17年ぶりの、6位・伊坂幸太郎『777　トリプルセブン』は「殺し屋」シリーズ6年ぶりの新作。18位『あなたが誰かを殺した』、25位『コメンテーター』、30位『青瓜不動　三島屋変調百物語　九之続』と昨年は大人気シリーズの数年ぶりとなる新作が続々と発表され、各々注目を集めた。現代社会の暗部に向き合った5位『黄色い家』も、川上未映子3年半ぶりの長編作。〝満を持して〟という言葉がしっくりくるベテラン作家による大作が並んだ。

その一方で注目すべきは新人作家の快進撃。「女による女のためのR-18文学賞」で大賞を含む三冠を獲得した1位『成瀬は天下を取りにいく』、初めて書いた純文学で芥川賞受賞の快挙を成し遂げた11位『ハンチバック』、新感覚ホラーとして注目を集めた12位『近畿地方のある場所について』、俳優・北原里英の初小説、19位『おかえり、めだか荘』と、デビュー作が上位にランクイン。2022年ブック・オブ・ザ・イヤー「文芸誌編集長座談会」で4人の編集長が語った”大新人時代がやってくる!”という予見がさっそく形となって現れ、コロナ禍からの規制が緩和された、リ・スタートの年にふさわしいランキングを形成した。

そのほか、1位～30位にランクインした作品はこちら！