見出し画像

第3章 書庫にて 第1話

第1話 レイラ・モーニングデュー


<< 前の話  |  目次  |  次の話>>


 鳥のさえずりが静寂を打ち破る朝、レイラはアイザックの書庫に足を運んでいた。

 胸の中には一筋の緊張。

 今日も彼に近づけるか、それともまた空回りするだけか・・・。
 レイラ自身その答えが見つからず、ただ前へと進む足元を見つめていた。

 毎日のように遊びに来ていたが、自分の気持ちを彼に伝えることがなかなかできない。アイザックのことを考えるたび、心の中に甘酸っぱい感情が湧き上がってくるのだ。
 もっとも、それが何かをレイラ自身も完全には理解していなかったが。

 書庫の扉を軽く叩き、軋む音と共に開くドアから覗いた彼は、いつも通りの静かな表情で本を読みふけっていた。レイラはその光景を見つめ、ほっと心から笑みを零す。

「おはよう、アイザック。今日も本に没頭してるのね。」

 朝の陽ざしが窓から射し込み、書庫の厳粛な雰囲気をやわらげていた。

 アイザックはいつものように書庫の奥、ソファに腰掛け、静かに本を読んでいた。
 そして本から顔を上げると、レイラに向けて微笑んだ。

「レイラ、おはよう。いつものように、読んでいるだけさ。」

 彼の声は落ち着いていて、レイラの心を和ませる。
 話すたびに彼の魅力が伝わってくるその深みのある声、それが彼女を日々彼のもとへと導いていた。

 二人はその後、友人としての慣れたやり取りを楽しんだ。
 アイザックの語る本の内容について、レイラが興味深く尋ねる。それは二人の日常の一部であり、それがレイラがアイザックへ近づくための手段の一つでもあった。

 レイラは目の前の机に目を落とし、エロティアの聖典が置かれているのに気付いた。
 悪戯心から何気なくそれを手に取り、中を開く。
 そこにはエロティアの神具や性交の方法が詳細に描かれていて、レイラはその内容に驚き、頬は見るうちに紅潮していった。
 赤くなった顔を上げ、アイザックの方を向いた。

「アイザックもこーゆーのに興味があるんだ。やっぱり男の子だねっ」

 と、からかうように言った。少し慌てる姿に目を細める。
 その瞬間、何かが部屋を包み込むような暖かな光が現れ、レイラの体を通り抜けた。

 それはアイザック巨根に与えられたエロティアの加護が発動した瞬間だった。
 初めて体験するその感覚に、アイザックは驚き、何が起こったのかを理解しようとする一方、レイラはその光を浴びて、まるで思わずというように、アイザックを背後から抱きしめた。

「――― こういうことをしたいなら、私が相手してあげるのに、、、」

 と、彼女は声を震わせながらつぶやいた。
 心の中に秘めていたアイザックへの深い感情が、エロティアの加護により強く表に出てしまったのだ。

 レイラは自分の言葉に気づき、戸惑いを隠しきれずにアイザックから身を離そうとする。しかし、アイザックはレイラの腕を引き寄せて彼女を抱きしめ

「レイラ・・・」

 と呼びかけた。彼の呼びかける声は、優しさとともに、彼女への深い感情を伝えていた。

 レイラの心は、その一言に弾んだ。
 彼女は初めて、自分の心の中にあったアイザックへの気持ちを、全て外に出したのだった。
 彼女は彼の瞳を見つめ返し

「アイザック・・・」

 と囁いた。
 その瞬間、二人は静寂に包まれ、初めてお互いに気持ちを交わした。

==========
「第3章 書庫にて」が開始です。
レイラとアイザックが仲良くするところを応援してあげてください。
エロティア様と一緒に。

まだまだ始まりの村を出れませんねw


<< 前の話  |  目次  |  次の話>>
magazin


twitter



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集