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不良老人ジュニアは、グラス片手に森さんのSFで哲学のお勉強。

京葉線東京駅まで30分ちょっと。
だから所要で出かけると神保町、東京駅周辺、日本橋あたりで本を探すことになる。

WWシリーズ新刊『君たちは絶滅危惧種なのか?』は、OAZO丸善本店で購入した。

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いつも事前にリストアップしてある数冊をいっしょに購入する。
バッグに獲物を詰めながら、取り敢えずページがめくれて、何がしかの酒が飲めるのは...と錆びついてきた海馬をフル回転。

OAZOからだと地下通路を通って、「KITTE」、「東京フォーラム」を抜けて銀座方面か、

八重洲から都バス佃、月島を目指すか、

それとも千代田線二重橋駅から乃木坂へ向かうか。

東京駅の京葉線乗り場は「KITTE」を抜けたところにもある。
いわゆる京葉線の始発駅。うちまで30分

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......

「東京フォーラム」から、地下鉄有楽町駅脇に出て「三省堂」を覗き、数寄屋橋交差点を渡ると「銀座東急プラザ」だ。ここもお気に入りのひとつ。

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地下にあるワインとチーズの卸屋さんでリーズナブルにワインが飲める。    
カウンターにその日の収穫を並べると、まずはカヴァだ。
それからページを開いて左手でホールド。活字を追いながらのど越し!
三種チーズの盛り合わせが出てくるタイミングで赤ワインに変える。

二杯目のカヴァが空くころには、酒飲みの持病が疼きはじめる。
いつものことながら、本当に謎だ。
なぜ、酒飲みは(ぼくはですが)一軒で満足できないのか?
そこが持病の持病たる所以か。
読みはじめる本の順番も大体決まってくる。

さて次だ。
この辺りだと午後早くから飲める7丁目「ROCK FISH」ハイボールをやりながら続きを読むか、勝どきに回って友だちの店「REDSTRING」でまたカヴァにするか、いやいや、まだ間に合うのだから、このまま大人しく電車に乗るか、といろいろ迷うふりをしているうちに1/3か1/4は読んでしまう。

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結局、一軒目から徒歩5分で至近という理由で「ROCK FISH」へ。

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大体、こんな塩梅の拾い読み、継ぎはぎで『君たちは絶滅危惧種なのか?』はその日の夜に読了。

サイエンス・フィクションはあまり読まないが、森博嗣さんWシリーズ、WWシリーズは全巻揃っている。

森さんはシリーズを “科学技術の発達がひとの不死を実現した未来社会”と仮説する。

クローンでもロボットでもない、ほとんど人間としての人格を持つ“ウォーカロン”(人間同様、ちゃんと食事を摂る)を作り出す高度な科学技術のお蔭で、人間の身体は、乱暴に言ってしまえば単なる“入れ物”でしかなく、望めばそっくり全部取り換えることができる不老不死の世界。

仮説と書いて思ったのだが、今、この瞬間も世界のどこかで研究開発されている現実的なテーマであってもちっとも不思議じゃないな。
GAFAが世界を手に入れるのにかかった時間を考えれば、仮説ではなく、それを明確な目標にしている企業や国家がありそうな気もする。

森さんが設定した“不死”の未来には、“その代わり生殖機能を失い、子孫、子どもが産まれてこない”未来という設定も付いてくる。
死なないのだから、「次世代を担う」とか「種の保存」は“死なないあなたが担えばいいじゃない”という、そう、ぼくが森さんのSFに「哲学の手引書」的ファクターを感じるのはこういうところだ。

この世に生まれて来て、幼年期、青年期、成熟期、高齢期を経て、唯一絶対の死を受け入れる。それが、ぼくらの真実であり、逃れられない宿命であるはずだが、この未来では余程のことが無い限り生き続けられることになっている。

本書のある個所に森さんは、“生きていることの価値は何か”と<>を打っている。

―かつて、人間は子供を産み、新しい世代に将来を託した。
また、常に成長と老衰という経時変化とともにあった。
老化を科学的に回避したとき、子孫を産む能力を失った。
それは、もともと同じものだったからだ。

植物は枯れるから種を残す。死ぬから生まれる。
成長することも老化することも、同じ現象であり、それは人類だけでなく、すべての生命の遺伝子に組み込まれたプログラムだった。

“死”は宿命ではあるが、またある種の“希望”、“未来”でもあるということか。
細胞老化に関係しているテロメアを思い出した。
ぼくもやがて死にゆく。
その時、「心配しなくても大丈夫。私にお任せください」と言ってくれる機能を内包しているらしい。

Wシリーズでは、ハギリウグイだった二人は、WWシリーズでは、バイオリン職人のグアトパートナーロジとなってドイツに住んでいる。

まあ、このシリーズに関してはディテールをあまり気にしないのだが、二人の関係はちょっと気になってる。
哲学のお勉強を優先させてしまうため、天才科学者ハギリとそのボディーガード役だったウグイ(真木よう子さんがだぶる)が、グアトロジに名前を変えて、その関係にも変化があったことを見逃していた。
バックナンバーをひっくり返してみたら『キャサリンはどのように子供を産んだのか?』で手を繋ぎ、『幽霊を創出したのは誰か?』ではロジグアトにお休みのキスをしている。

なんだか、ちょっとうれしい。
鈍感なグアトと一途なロジ
もどかしく、幼い恋の行方を見守ることも、ぼくにとってはこのシリーズの魅力のひとつなのだ。

子供を産めない男と女。
どんな恋が生まれ、愛が芽生えるんだろう。

タイトルの“絶滅危惧種”だが、いったいどののことなのか。

いづれ、地球だって消滅するだろうし。

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