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COVID-19との戦い~学習支援の現場から

 なかなか終わりの見通せない、COVID-19との戦い。日々、最前線で取り組まれている方々の苦労は計り知れない。

 「未曾有の」と形容されるであろうこの状況下で、地方都市の小さな学習支援団体が、子どもの学びの機会を保障するために、COVID-19とどう戦っているのか、中間(!?)まとめをしてみます。

強み→弱み

 Kacotamの学習支援は、様々な背景のボランティアスタッフが参加していることが、一つの強みになっている。
 「学習支援」というと、教員を目指している学生や元教員などが中心なのだろうとイメージしてしまうが、Kacotamはそうではない。逆に、がっつり教育関係という人々は少数派だ。
 拠点型学習支援では、担当を固定せず、毎回基本的に担当者が変わるようにしている。(この辺に込められた想いは、以下の代表のnote記事にて)

 普段は強みとして打ち出しているボランティアスタッフの多様性だが、COVID-19対策という面では弱みになっている。

 普段は交わらない者が交わりうる場をつくっていることになるため、感染の連鎖・広がりを止めるという点では、最悪だと認識している。

 また、現場を担うボランティアスタッフは、子どもとの年齢的な近さを重視して、30代までにしているため、感染が起きても無症状の可能性が高い。

 だからといって、活動を止めてしまえばいいというわけではない

その1:持ち込まない

 そこにウイルスがなければ、感染症が広がるということは起こりえない。だから、なるべく活動の中にウイルスが持ち込まれるリスクを軽減したい。

〇 健康チェック
〇 感染が疑われる場合の参加自粛

 健康チェックでは、スタッフ側は、体温の閾値を37.0℃と少し厳しめに設定している(平熱が高い場合を除き)。若者年代が活動の中心を担っていることもあり、自覚症状だけでのスクリーニングには限界があるとは感じているが、常日頃行えることの限界点と割り切るしかない

 主な活動地域である札幌市内での感染の広がりの応じて、濃厚接触者と判定される場合や濃厚接触者との濃厚接触者となる場合が誰しもに起こりえる状況となっている。また、状況的に「濃厚接触者」として検査対象に指定されるまでのタイムラグが大きい場合もある
 そのため、以下のように「感染が疑われる場合」の範囲をかなり広く取っている

〇 COVID-19による学級閉鎖が、自分の学級以外を含め発生している場合
 ※同居しているきょうだいの学校を含みます。
 ※事後的に濃厚接触者調査対象となる場合があるためです。

 ひとり一人の子にとっては、学習機会が減少することにはなるが、全体を見たときに、1拠点の活動全体が止まることに比べれば影響範囲は小さい
 また、上記などの理由により、参加ができない場合には、オンラインでの代替措置の利用も提案している(ネット環境や端末がない家庭向けにモバイル回線付帯の端末貸出も対応)。

その2:状況に応じたASAP対応

 活動への参加者の中に「濃厚接触者としてPCR検査の対象者になりました」という人がいた という場合一つをとっても、対応やすべきことの優先順位は変化してくる。

〇 関係者名簿の作成
〇 関係者への周知
〇 各活動の調整
〇 関係機関への問合せ  ......

 保健所の指示によるPCR検査対象となった者がいた場合、直近での参加状況を追跡し、検査結果で陽性となった場合に、関係者となる可能性がある者の一覧と、対象者との関係(接触の有無など)を取りまとめた文書をまずは作成するようにしている。
 参加者の情報は、内製のポータルシステムで一元管理されているため、簡単に関係者の一覧の抜き出しが可能だ(システム化しておいて良かった......)。関係者への周知についても、ボランティアスタッフ分は、関係者を集めたChatworkのグループチャットを立ち上げて一斉に共有することができるし、利用者向けもメールやLINEでの一斉配信ができる。
 この辺りは、2017年度から少しずつ進めてきていた情報システムの活用が活きた部分だ。

 一方で、各活動の調整には苦心した。というのも、活動歴が長かったり活動頻度の高いボランティアスタッフの多くが、複数の拠点・活動に参加しているため、どこかの拠点・活動の中で、活動への参加を休止する必要がある状況になってしまった場合、他の拠点・活動へも参加できない。そのため、間接的に他の拠点・活動がスタッフ不足により実施できなくなってしまう。
 この部分は、当初予期していなかった事態だった。現在は、各拠点・活動の必要最小限のスタッフが確保できるように、各スタッフの参加する活動や拠点を絞ったり、職員2名は同じ拠点・活動に参加しないといった対処策をすることになった。

 内部での判断が難しいケースについて、厚生労働省電話相談窓口 及び 札幌市保健所(新型コロナウイルス一般相談窓口)には、親身になって助言をいただけた。札幌市保健所(新型コロナウイルス一般相談窓口)は状況柄かなりつながりにくかったけど......。

その3:非対面での代替

 参加制限(人数制限によるものや、感染疑いによる制限等)により、対面での学習支援に参加できない又は、参加回数が限られてしまう場合の代替策として、全国一斉の休校期間中に実施した、LINE学習相談を端末貸出も含めて引き続き実施している。小学生~高校生まで幅広い年代の子が利用している。
 参加制限によって、LIEN学習相談を開始するようになった場合には、なるべく子どもと面識がある人を優先して割り当てることで、質問のしやすさを少しでも担保するようにしている。

 運営に関わる各種打ち合わせは、現状フルオンラインでの実施になっている。また、年に1度の全スタッフ必修の研修もオンラインでの実施とした。
 打ち合わせのオンライン化は、以前から少しずつ議事録をGoogleドキュメントの同時編集するようにしたり、一部の参加者がオンラインで打ち合わせに参加したりということの積み重ねもあり、スムーズに移行することができたと思われる(対面でできるけど、非対面でもよくない?な時に、混合型でならしておくことの重要さを感じた)。

その4:見通しをつくる

 「今後、感染が拡大したらどうなるのか?」という漠然とした不安を少しでも軽減するものとして、「COVID-19対策期活動ガイドライン」を策定した。詳しくは、以下の記事へ。

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 コロナ禍でできなくなったことがある一方で、なかなか前に進められなかった、ICTを利活用した取り組み(活動自体や運営関係のアレコレ)はやむを得なくというところもあるが、進めることができた。また、本文中でも触れたが、「別にオンラインじゃなくてもよくない?対面の方が何かといいじゃん(慣れてるし)」ぐらいのときに、少しでもICTの導入をしておくことで、いざ「オンラインでやるしかない!」となったときのスタートのハードルが小さい。「オンラインじゃなくてもよくない?」じゃなくて、「リアルじゃなくてもよくない?」なんだよな大半が......。



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