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餅は餅屋、本は本屋。ネットでも本屋で本を買う

本屋さんのネットショップで本を買うのにハマっている。
Amazonと違って送料がかかるし、本屋ごとに住所や支払い方法を入力しなければいけない。
それでも私は、本屋さんのネットショップで本を買う。

きっかけは、東京の有名な本屋である「Title」のネットショップを利用したことだ。
そのとき私は、『私の愛おしい場所』という本を探しており、個人出版のためAmazonや大手書店では売ってなかったのだが、Titleのネットショップで取り扱いがあったのだ。
正直、今まで利用したことはないし送料もかかるので抵抗があったのだが、どうしても読みたかったので「えいや」と注文した。

そうして、その本が3日ほどで届いた。
注文した翌日に発送され、予想より早く到着した。
そして、それ以上に驚いたのが、梱包の丁寧さである。
Amazonで本を買う場合、裸の本がそのまま封筒に入れられて送られてくる。
本に傷がついてもしょうがないような、そっけない梱包である。

それに比べてTitleは、まず本を厚紙で包み、それを厚手の封筒に入れ、その上で傷つかないよう隙間にクッション代わりの雑紙を入れてくれていた。

右のピンクの紙に本が包まれていた

それを見たとき、本に対する意識の違いに胸を打たれた。
Amazonにとって、本はどこまでも商品であり、言ってしまえばお金稼ぎの道具でしかない。
それに比べてTitleには本に対する敬意があった。
たった一冊の梱包にすら、店主のこだわりが感じられた。
そんなふうにして届けられた本を受け取ると、やはりうれしくなってしまう。

そんな体験を経て、様々な本屋さんのネットショップを見るようになった。
そこで気づいたのが”見るのが楽しい”ということである。
ネットショップながら、その本屋の選書が楽しめるのだ。
Amazonみたいにキーワードを入力しなくても、「新刊」や「古本」といった大きなくくりで一覧が見れるので、予期せぬ出会いが楽しめる。
送料はかかるが、「その本と出会わせてくれた料金」と考えれば苦にならなくなった。

資本主義が加速し、どこもかしこもそっけなくなってしまった。
マニュアルがはびこり、最低限のサービスで最大限の利益を上げるのが当たり前になった。
でもそんなお金だけのやり取りは、やはりどこかさみしいものがある。

Titleの梱包や本屋のネットショップの選書には、確かに人の仕事が感じられる。
そして私は、資本主義においては余計なものとされるそのこだわりを、どうしようもなく好ましく思う。
多少料金や手間がかかったとしても、そのこだわりを受け取ることで気持ちよく買い物ができるなら、私はそっちを選びたいと思うのだ。

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