デザインってなんだ 探究学習塾ナミカゼ#17_アート回②
前回に引き続き、2回目のアート回を実施しました。今回もゲストを招き、車座になって話を聞くスタイルで行います。
お越しいただいたのは、気仙沼出身のグラフィックデザイナー 志田淳さん。地元ラジオのパーソナリティをしていたり、地元の看護学校で社会学の講師をしていたりと、たくさんの肩書を持つマルチなデザイナーさんです。
そんな志田さんから、気仙沼での高校生時代から遡ってお話を聞きました。
ーーー高校時代のお話
志田さん:高校時代は田舎の気仙沼が嫌いでした。帰宅部だったのですぐに家に帰って、レンタルショップでCDを借りて聞いている日々を過ごしていましたね。高校3年生からバンドを始めて、プロを目指したくて東京の大学に進学しました。バンドに明け暮れて人生を謳歌している大学1年生の春、東京で東日本大震災を経験したんです。テレビで東北が大変な状況になっているのをずっと見ていました。それで、バンドマンの古着を集めてフリーマーケットをしたら面白いんじゃないかな?と考えて、アパレルを使って東北と関わりを持つようになりました。それからスタッフTシャツを自分でデザインしたのが最初のきっかけです。大学卒業後は、バンドマンになるかデザインの仕事をするか悩んだけど、就職活動というものはしませんでした。卒業してホームレス生活の経験もしたんだよね。
荷物を取りに実家に戻った志田さん。そのまま気仙沼に住み、シェアオフィスでコミュニティマネージャーをしながらデザインの道に進んでいったそうです。
ーーーアパレルのデザインとグラフィックデザインの違い
志田さん:アパレルのデザインはほぼアートで、今やっているグラフィックデザインは、デザインだと思っています。「アート」と「デザイン」の違いがある。
よく、アートは「問い」で、デザインは「答え」と言われたりもしますね。デザインの本来の意味は設計で、問題・課題を見つけて引き出し、整理して形にするもの。依頼をしてくれる人がいてはじめてデザインが成り立つ。アートは自分がいいなと思うものを作り、作品に共感してくれる人が買ってくれる。
僕は気仙沼に帰ってきて、色んな人と出会って話すなかで「デザイン」を目指すようになりました。みんなで一緒に、チームとして考えたいなと思うようになったんです。
ーーーグラフィックデザイナーをやっていて楽しい瞬間
作っていて楽しいと思う瞬間は、クライアントと打ち合わせをして「こんな人に見せたい・こうしたい」という話を聞いた後、一人で妄想を膨らませるときですね。「こうやったら解決するんじゃない!? これならいいんじゃない!?」って最強モードになる。提案した時に上手くいかないことも多くありましたけど。いつかは、映画のデザインにも関わってみたいです。
「やっていて楽しい瞬間」の問いの答えに対して、イラストレーターとして活動しているナミカゼ生からは、「わかる〜〜〜!」と共感の声が上がっていました。
ーーー高校生へのメッセージ
何をするにしても、どんな仕事につくにしても「伝える」ことが大切だと思います。自分の言葉で誰かに何かを伝えていくことが増えていくと思うけど、うまく伝えられるようになるために、言葉の深さや豊かさを身につけて欲しいなと思っています。そのために色んな作品に触れて、色んな感情を味わって、「自分は今、何を思ったのか」と言語化することを癖つけて欲しいです。たくさんインプットして、たくさんアウトプットしてください。
記事には書ききれていない程、色んなお話をいただきました。
前回に続き、気仙沼出身の先輩の話を聞いたナミカゼアート回。今後、それぞれの探究活動や進路を考えていく中で、どこかで繋がっていけたら嬉しいです。
(文・気仙沼学びの産官学コンソーシアム 三浦 亜美)
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