読書レポート:「ほめる」は最強のビジネススキル
■書籍紹介
著書:「ほめる」は最強のビジネススキル!
著者:松本 秀男
出版社:悟空出版
■はじめに
今回、私がこの本を読もうとした理由は、トップ営業マンの打合せを聞かせていただいている中で「お客様を褒めた後に、刺しに行く」という流れが多く使われていることに気づきました。
本屋で「お客様を褒める」という本が見つからず、社内に対する「褒める」について書かれたこの本を購入し読みました。
ただ、褒めることは、この本のタイトルにもあるように「スキル」であり、お客様を褒める際にも活用できると感じたため、今回レポートにしています。
■褒めたくない症候群
アドラー心理学では「褒める」ことに否定的であり、社会人の方にも多く「褒めるべきではない」と考えている方もいらっしゃいます。
この本では、そうした方が「褒める」ことが嫌いだとか、そもそもその人が嫌いだからとかではなく、「褒める」ことに抵抗感があるためと述べています。
【「褒める」ことに抵抗を感じる3つの要因】
①評価を下す
②成長が止まる
③依存させコントロールする側面がある
この3つのいずれかに該当して、褒めることに抵抗を感じている可能性があるそうです。
①評価を下す
どうしても、誰かを褒めるという行為には暗に人に対して評価を下すという印象を持ってしまう側面があります。
たとえば、目標達成した先輩に「凄いですね!」と褒めた時、捉え方によっては「達成できないと思っていた」と捉えることができます。
このように、人を褒めることは無意識にその人を評価してしまう場合があり、伝える相手によっては失礼にあたることもあるため、リスクを取るなら褒めない方がよいという判断がされているのではと考えられます。
②成長が止まる
良い結果を出しても、褒めるとそこで満足して努力をやめてしまう、調子に乗ったり勘違いしてしまうために褒めることへの抵抗があると考えられます。
③依存させコントロールする側面がある
アドラー心理学では「褒めることは相手をコントロールする行為、そして褒められたいという依存状態を生み出してしまう」と言われていて、褒めてしまったことで、相手の純粋な努力理由にズレが生じてしまうことがあります。
例えば、「親を助けたい!」と思ってお手伝いしてくれた子供に、ある時からお小遣いを上げるようにした場合、いつからか、親を助けたいからお手伝いをするのではなく、お小遣いが欲しいからお手伝いをするようになってしまう場合があります。
これが先ほど述べた努力理由のズレです。
そして、お手伝いではなく、勉強をしたらお小遣いをあげると伝えると、この子は勉強を頑張るでしょう。
これが、相手をコントロールすることになります。
アドラーの心理学では、相手をコントロールできてしまう可能性がある「褒める」ことに対して否定的なのです。
同じように、このような環境や関係を作りたくないから「褒める」ことをしない人も多くいます。
■「褒める」には2つある
この本では「褒める」にも2種類あると書かれています。
呼び方は「旧型ほめる」と「新型ほめる」です。
それぞれの違いと、どちらを活用すべきかを整理します。
①旧型ほめる
結果を褒めるのが「旧型ほめる」です。
そして、アドラー心理学で辞めるべきと言われていたり、デメリットを生み出す褒め方がこの「旧型ほめる」です。
具体的な例を挙げます。
資料作成を部下や後輩に依頼し、完成した際に、「いい出来だ!」「完璧な資料だ!」と成果物に対して褒めるのが「旧型ほめる」です。
これだと、褒めることがデメリットに働くことがあります。
出来上がった成果物に対して褒めると「自分は今のままで十分」と解釈し、努力をやめてしまう可能性があります。
②新型ほめる
想いや努力を褒めるのが「新型ほめる」です。
そして、先ほどの「褒めたくない症候群」を感じない褒め方が「新型ほめる」です。
具体的な例を挙げます。
先ほど旧型ほめるの説明の際に、資料作成の例を挙げましたが、同じシチュエーションの場合、成果物に対してだけではなく、その過程に目を向けます。
たとえば、デザイン性が今までと変わっていたら「どうしてこのデザインにしたの?」「どうやってそのデザインの情報を集めたの?」など、完成に至るまでのプロセスを聞いたうえで、考え方や行動について褒めるのが「新型ほめる」です。
出来上がった成果物に対してのみ褒めると「自分は今のままで十分」と解釈し、努力をやめてしまう可能性がありますが、その過程を褒めると成長を止めることはありません。
逆に、「この考え方でいいんだ!もっと!」や「新しい考え方を取り入れてもいいんだ!」ともっとその人の個性を出すようになるかもしれません。
■まとめ
今回は「褒める」についての考え方が今までの自分と違うことに気づきました。
自分は褒めて伸びるタイプのため、自分も褒めることを大事にしているのですが、結果に対して褒めることをしていました。
こうした貴重なインプットができた後の仕事はきっと楽しい日になるのでしょう!
来週が楽しみです。