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「やりたいことを深掘りすることで、自分の軸を見つける」尾原蓉子さん×ハヤカワ五味さん

こんにちは。たけぶち(@k_takebuchii)です。

先日、note×日経電子版イベント「アパレル界のイノベーターに学ぶ『旗をたてる』生き方」に参加してきました!!

最近、note枠を設けて下さるイベント多いですよね。入場無料の上に、アウトプットの機会まで頂けて本当にありがたいです。


〇旗をたてる(自分の軸を見つける)生き方とは?

ハヤカワ五味さん:(ファッション業界に限らず)キャリアパスが見えにくい業界において、一人ひとりが軸をもった生き方をするにはどうしたらいいと思いますか?

尾原蓉子さん:軸の定め方は本人のフィロソフィ―など色々あると思いますが、私の場合は「女性であっても世の中の役に立つ」というものでした。目的があると、それに対して磁石のように色々なものがくっついてきてくれます。それが軸を立てる上で大事になってきますね。また、今の自分の仕事に固執する必要はありません。周囲にどんな業種があるのかを広くアンテナを張って、興味のある分野を深掘りしていく方がいいと思います。

ハヤカワ五味さん:「好きなことを仕事にする」って最近よく聞くようになりましたよね。人生100年の中で、興味のある分野を深掘っていくと、自然に旗をたてることに繋がっていくかもしれません。

尾原蓉子さん:自分が時間を忘れて没頭できることは何か、それを今後もやっていきたいかを自問自答することが大事です。自分のやりたいことを中心に世界を広げた方が良いし、やっぱり吸収力が違います!!

(立てた旗をへし折られたことはありますか?という質問に対して)

尾原蓉子さん:自分の軸となるものは、そんな簡単にへし折れられてはいけません。逆にいえば、へし折られるような旗は立ててはいけないと思います。

ハヤカワ五味さん:そうですね。他人の影響を受けてぶれるものは、まだ旗ではなく、一つの目標ぐらいだと思います。私自身も小さな理念や哲学が揺れることはありますが、根幹の部分がひっくり返されるといったことはないですね。


〇女性が仕事をする意義

ハヤカワ五味さん:私自身、「女性の経営者」として注目されることには、あんまり納得がいってなくて。自分が経営者をやっている理由としては、「自分の力で生きていきたい」という部分が大きいんです。それが結果的に、プロフェッショナルとして働くことに繋がっている感じですね。

尾原蓉子さん:男女問わず、自分の能力を活かすことが大事だと思います。私、Make a diffirenceという言葉が大好きで。自分が存在したことで、小さなことでも何かが変わったみたいな。そのためには主体性というものが大切なんですね。Control your destiny(自分の運命は自分で決める)ということです。そして、自分で決めるためには、Employee ability(雇われる能力)が必要になってきます。

(リーダーシップを発揮することと女性らしさの両立についてどう考えるか?という質問に対して)

ハヤカワ五味さん:そもそも「女性らしさ」って何だろう?と思うんですね。それって結局、男女の対抗軸の中から出てきた「らしさ」で大味だなと。例えば私の場合、女性らしさよりも「ハヤカワ五味らしさ」でリーダーシップを発揮することが重要だと思っています。

尾原蓉子さん:(ハヤカワ五味さんと同じく)男女で区別するわけではないけど、女性の方が人の心を読む、人とコミュニケーションを取ることに向いていると感じます。今後のフラットな組織の中では、そうした特徴を生かしたリーダーシップの形もあるので、両立は可能だと思います。

(就活生が女性としてのキャリアを考える上で大事にすべき軸とは?という質問に対して)

尾原蓉子さん:男女にかかわらず、やはり「自分は何がやりたいか」を明確化することだと思います。

ハヤカワ五味さん:そうですね。結局「自分のやりたいこと」と「会社側がしてほしいこと」が合わないと、お互い不幸になると思っていて。なので、面接とかでは取り繕わずに自分のやりたいことを率直に話した方がいいと思います。

尾原蓉子さん:以前の会社で「自分の仕事を上司の視点、できれば2段階上の上司の視点で見てみなさい」とアドバイスされたことが、すごい心に残っていて。求職の際も、それは大事にしてみるといいと思います。


〇プロフェッショナルに働くとは?

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尾原蓉子さん:プロの条件は五つあると思っています。
1お金を取れる専門性
2プロとしての自負
3絶えず研鑽している
4自分の立ち位置が分かっている
5謙虚である

ハヤカワ五味さん:その条件、すごく分かりますね。「プロフェッショナルになること」を遠い世界のことだと思っている人がいるかもしれないんですが、一つのスキルとして身近に感じていいと思います。プロフェッショナルになることは「仕事を選べる」ことに繋がります。仕事を選べるから、より主体的に動けるようになるのかなと。

尾原蓉子さん:Fairと平等は違います。平等は結果平等。Fairはその能力や結果に応じた報酬が出ることです。日本は権利主義・平等主義が強いですが、出面でお金をもらえる時代は終わると思います。

ハヤカワ五味さん:妥当な給料をもらってないんじゃないか?という不満を持っている人がいるかもしれないんですが、それこそ2レイヤー上の視点から見てみることが大事だと思います。自分がどういう能力や結果を求められているのかを、そうした視点で見ることで、正当なフィードバックができるかなと思います。


〇体調管理を仕事に含めるべきなのか?

ハヤカワ五味さん:これは私自身も迷っていることで。数合わせではなく、成果をあげてもらうためにプロフェッショナルとして人を雇っている。だとしたら、体調管理ってプロフェッショナルの仕事の中に入るのかな?でも持病の有無や体質は人によってそれぞれ?って悩む部分がありまして。

尾原蓉子さん:スポーツマンは、本番に向けて体調管理しますよね。それと同じかもしれません。「休むことは権利」だと思ってる方がいるんですが、大事な会議や、その人がいないと成り立たないことに関しては、そこに向けて体調管理するのもプロフェッショナルだと思います。

ハヤカワ五味さん:確かに。重要な意思決定のために、日々体調管理をするのは大事ですね。それと同時に、どうしてもダメっていう日は休めるような関係を日頃から周囲と築いておくことも重要だと思います。

(女性が結婚・出産・子育てを経て、その先のキャリアを見据えて働くにはどういったことが必要ですか?という質問に対して)

尾原蓉子さん:産休や育休に入る前に、予めキャリアについて会社と本人の間で話しあっておく必要があります。また、長い時間があるという意味ではインプットのチャンスだ!!と私自身はポジティブに捉えています。

ハヤカワ五味さん:管理職目線で考えると、(妊娠・出産について)本人から早い段階で状況を共有してもらえる関係の構築が重要かなと思います。早い段階であれば、本人のキャリアについても、現場についても手が打ちやすくなるので。


〇感覚と理論との両方のバランスを取るためにはどうすればいいでしょうか?

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ハヤカワ五味さん:これは私自身の悩みでもあるんですが。お客様が求めているもの(数字で測れるもの)と、社員が良いと思っているもの(感覚ではかるもの)のバランスを取るにはどうしたらいいと思いますか?

尾原蓉子さん:「アーティストとしてデザインをすること」と「ビジネスの世界でデザインすること」は別物です。もともとDesignという言葉には「設計」という意味があって、それを踏まえて「どういう人に」「どういう機能」を提供するかをビジネスとして考える場合、お客様目線無しなんてことはありえません。自分がいいと思うものだけを作りたいというなら会社勤めはできないですよね。
バランスを取るという観点で尊敬しているのは、川久保玲さんです。ただそれができる人なんて滅多にいません。中途半端になるぐらいだったら、どちらかの専門性(感覚 or 理論)を磨いて、足りない部分は他の人に補ってもらう方がいいかもしれません。


〇消費者の行動変化について

ハヤカワ五味さん:コトラのマーケティング4.0の話にもありますが、モノが過剰に溢れている今の世の中では、社会善や自己実現に繋がるモノが売れる。じゃあ社会善や自己実現に繋がるモノが溢れた時、ユーザーは何を基準に選ぶと思いますか?

尾原蓉子さん:そこについてはあんまり心配しなくていいと思っています。売れないものは売れない。売れないモノをつくる企業は淘汰されていく。シャツ1枚に1年分の飲料水が使われている現状を踏まえると、今は社会善とされているSustainableも当たり前になる時代が来ます。そして、それを解決するブランドが当然選ばれてくると思います。

(マーチャンダイジングの方向性を問う質問に対して)

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尾原蓉子さん:マーチャンダイジングはファッションビジネスの心臓ですね。マーチャンダイジングには五適があって、適品・適時・適量・適価・適所が求められます。ただし、現代のIT化やオム二チャネルの存在を踏まえると、まず「適量」「適所」の重要度が下がってきます。そして人によって値段を変えて売れるようになると、「適価」の必要性も薄くなります。またテクノロジーの発展とともに、特定のインフルエンサーに矢を立てて、そこから広げて市場を作るみたいなマーケティングも可能になっていくと思います。

(これから店舗で集客するにあたって重要なことは何ですか?という質問に対して)

ハヤカワ五味さん:香港出張で見てきたことを踏まえると、店舗は商品を売ることよりも、見せることを重視すべきだと思いました。11/15開催のイベントでも話しますので、よかったら是非!!

〇キャリアの目的・パーパスの重要性

尾原蓉子さん:アメリカにいた時、It’s so differentと毎回言われました。最初は浮いてると思い落ち込んでいたのですが、It’s so differentは褒め言葉だと後々知りました。
日本だと平均的であることを求められることが多いですが、苦手なものを補うよりも、得意なものを伸ばしてセルフ・エスティームを養った方がいいと思います。そこから、キャリアに自分なりの目的を持たせることが重要だと思います。


〇今回の気付き

様々なお話が縦横無尽に展開されてたので、一言ではまとめきれませんが、お二人とも、性別は特徴の一つぐらいとして捉えていて、「自分の特徴を踏まえつつ、個人として何がやりたいのか?」ということをひたすら深掘りしている印象を受けました。

そうした自問自答の積み重ねが、旗をたてる(自分の軸を見つける)生き方に繋がっていくのではないでしょうか。


最後に一言!!
ハヤカワ五味さん、自分とほとんど歳変わらないんですね。ウツワの大きさが違う_| ̄|○

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