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朝の4時まで働いた話

大学を卒業し、就職活動の末、私はとある大手塾に就職した。

全国チェーンでテレビCMもしている誰もが知っている塾だ。

大学時代4年間、別の塾でアルバイトをした経験もあって、働いてみたら思ってたのと違う!とかいうギャップもないだろうと思っていた。


ところが


まず研修期間として先輩の運営するお教室で講師として授業をすることになった。


その先輩のお教室は、売り上げをすごくあげていて、だからその先輩はすごい人だ。と聞いていた。

どんなにかすごいお教室だろう、とドキドキしながら向かったら


なんと、荒れに荒れていた。

生徒が飲食しまくりだし、私語はすごいし、生徒にテキストを買わせずに、なぜが毎回コピーしたプリントで授業をしている。
だからコピー機には講師の長蛇の列。(すごく時間のムダ。その時間生徒のためにできることがあるだろう?)

そして、わたしは思い切り文系だっつうのに、高校数学の授業をしろと、当日に言い渡される。

出来ません。生徒の成績に責任持てません。

とはっきり言うも、

今日は高校数学ができる先生がいないの。あなたがやって。

と、先輩社員にゴリ押しされる。

なんだ、このお教室は!?

ぐっちゃぐちゃじゃねえか?

私はこの先輩のもとで学ばねばならないのか、、、

入社3日くらいでめちゃくちゃ後悔する


なんやかんやで3ヶ月過ぎ、いよいよ配属先の教室が決まり、22才のこむすめは、教室長になり、ひとつの教室を運営することになる。


所謂、社員が1人にあとはアルバイト講師、という典型的な社畜養成システムであった。


社員1人で生徒管理とアルバイト管理をするんだからそりゃもう仕事なんていくらでも湧いて出てくるわけで、完璧にやればやろうと思うほどに終わりなんかなくて追い詰められる。

この子のカリキュラムはこれで大丈夫?
授業準備にぬけはない?
宿題の量は?
テキストの難易度は合ってる?
先生との相性は?
最近宿題やれてないの何で?

生徒:学校で友達とトラブったから塾休みたい
生徒:お母さんの体調が悪いから模試の成績は見せないで
保護者:子どもの志望校のことで相談が
講師:生理痛で休みたい
生徒:お祭りに行きたいから授業振替したい
生徒:〇〇ちゃんと喧嘩したから授業の席を離して
上司:玄関汚いよ掃除機かけてるの?
上司:夏期講習100コマとってね


プシュー、、、、


こんな感じだから私の入社前にも後にも何人も辞めていた。


ストレスで顔面麻痺になった先輩を見た(顔の半分しか笑えない)し、精神科に入院した人もいると聞かされる。


えらいとこに就職しちまった、、、、


もちろん、生徒たちはかわいいし、やりがいはあった。すごく信頼してもらって、20年たったいまでもつながりのある親御さんもいる。


やりないはあるけど、午後から勤務とはいえ、しっかり抜け目なく仕事をしようとすると、朝の4時になっていた。

毎日新聞配達さんとすれ違う帰り道。

夏ならもう明るくなってくる。

そんな昼夜逆転の生活を2年間続けて、

もう。塾とかやめよ。

と思った。

若い頃って、仕事が辛くなると、

これはホントの自分じゃないとか

もっと向いてる仕事があるはずだとか

どこかにユートピアがあるはず

などと思ってしまいがちで、私ももちろんその1人。

ユートピアを求めて、私は転職活動をすることになる。

自分探しの旅に出た24才であった

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