『10代で知っておきたい「頭が良くなる」ためにやるべきこと/千田琢哉著』
《数学だけできても‥‥》
「数学だけじゃ大学いけないんだよなぁ」
高3の時に数学の先生に言われた。
数学だけはできた。共通一次試験でも数学だけは9割取った。数学だけは‥‥。
昨年まで通算30年、小中学生に算数数学を教えていた。
算数数学が苦手な子にとって、独学は難しい。
就学前のおやつが何個、何時に幼稚園バスが来る、友達何人、滑り台の順番は、積み木遊び‥
そこからの積み重ねだからだ。
他の教科のように切り取った一部をやればそこだけはできるというものじゃない。
中2で教室に入った2人の生徒がいた。
「いつ、算数の勉強をやめたの?」
と聞いてみたら、なんと小2。
それでも掛け算はどうにかできた。以前、掛け算ができない中学生がいて九九が書いてある下敷きを使わせるところから始めたこともあった。
数学は、わからなくなった学年まで戻るのが早道になる。
2人には小2の文章問題から始めてもらった。あっさりリタイヤするかなと思ったけれど、1年間でどうにか中2の数学基礎まで追いついた。中3の春に高校入試に向けて五教科指導をしてくれる進学塾に送り出すことができた。
4年後、その1人が銀行に就職したと聞いて嬉しくなった。3人でやり抜いた一年は無駄じゃなかった。
小学生のお母さんたちによく言われた「まだ、小学生なんだから塾に行かなくても」と。
私は小学生の6年間の勉強さえしっかりと身につけておけばいつからでも取り返しがつくと思っている。
自分の、周りとはちょっとずれているわたしだけれど、千田琢哉氏に多くの場面で考え方が似ていて嬉しくなる。勝手に師と思い込んでいる。
それにしても、千田氏はよくここまで言い切れるものだ。読んでいて時々、夜道で後ろから刺されないのかと心配になる。
エリートは必要です。
地方の衰退は、統廃合を繰り返し、エリート校に値する学校がなくなったせいもあると私は思う。
*『10代で知っておきたい「頭が良くなる」ためにやるべきこと』
千田琢哉著
を読んでのビブリオエッセー