福島の難読地名
千世さんのリクエストが面白そうなので、久しぶりに「企画」モノに乗ってみます(^^)
二本松藩関連の小説を書いているワタシですが、実は、地名には割と手こずります。
そうなのです。福島も結構難読地名が多いのですよ。漢字の読み・地名などの固有名詞にも割と強いほうだと思いますが、そんなワタシでも、元の文献に当たる時はネットでよくググっています。
そんな「難読地名」より、幾つかピックアップしてみました。
安積
割と全国的に有名……と思っていたのは、地元民だけらしいです(笑)。よく誤読されるのが「あづみ」読みでしょうか。
地名の由来はというと……。
勿来
これは有名でしょう……と思っていたら、やはり難読地名らしいです。
勿来の地名については、前に俳句幼稚園でも使ったことがあります。
みちのく三関(ほか二つは山形の鼠ヶ関、白河の白河関)の一つですが、元は「菊多関」と呼ばれていました。ですが、蝦夷の南下によほど手を焼いていたのでしょうか。いつの頃からか「夷よ、来る勿れ」(漢文表記だと勿$${_レ}$$来$${^ル}$$)との願いが、そのまま地名として残されたと言われています。
さて、ここからは地元でも難読なのでは?というものを三つほど。
百目木
須賀川上小山田地区、桑折町、二本松市(旧岩代町地区)などで見られる地名。地域特化の地名なのかと思っていたら、千葉県などにもあるそうで、分布としては全国区のようです。
由来は、「どうどうと流れる水の音を形容したもの」だそう。言われてみればなるほど!なのですが、やはり読めないと思ふ……。
蚕養・蚕飼
これは、「直違の紋~」のリサーチ中に出会った地名です。直違の紋~の第二章、「二本松を奪還せよ」の小話で、鳴海と部下の会話で登場しました。
この地名が残るのは、猪苗代町及び会津若松市。
祭神として養蚕の神様が祀られていたことから派生したもの。
ちなみに、「蚕養」を神様として祀っているのは会津だけなのだそうです。祭神は、以下の三柱。
• 保食大神 (うけもちのおおかみ)
• 稚産霊大神 (わくむすびのおおかみ)
• 天照大御神 (あまてらすおおみかみ)
このうち、稚産霊大神の頭から蚕が生まれたことから、「蚕養」の名が付けられたといいます。蚕を産んだ稚産霊命は、穀物と養蚕の紙として、今でも信仰を集めているとのこと。
双石
これも、「直違の紋~」で出てきた地名です。具体的には、第一章の小話「焼香」で白河攻防戦を描いたときに、登場させました。
地名の由来はというと、この土地に昔、「長さ1尺9寸の二つの石を御神体とする、双石の祠があった」ことから、この名前が付けられたといいます。
おまけ~二本松藩の「竹ノ内調練場」の場所について
難読……というのとは違いますが、「鬼と天狗」の最新話「竹ノ内擬戦」で散々悩んだのが、「竹ノ内調練場」の場所の設定です。
調練場があったのは各種の記述からして間違いないのでしょうが、その場所がどうも二本松郭内ではないというのが、ワタシの推測です。
「鬼と天狗」執筆のきっかけを下さったHさん(恐らく本職も歴史研究家の方だと思います)も、この場所の特定には悩まれたようで、「詳しいことはわからない」と仰っていました。
ただし一つの手がかりとして、二本松には「御殿の桜」という銘木があります。「御殿の桜」という名称は、ここに「竹ノ内御殿」があったことに由来するというもの。ですが、「練兵場」を設けるには適していないのでは?というのが、Hさんの談話でした。
そこで私が色々とリサーチして絞り込んだのが、「二本松市大平地区」。理由としては、
• 今でも「竹ノ内」という地名が残されていること(大平小学校の辺りです)
• 近くに栗ノ巣古戦場や各館跡(いずれも中世の史跡)があり、その事実からしても兵を動かすのに適した土地であったと推測されること
• 二本松藩の2度の軍事演習(安政年間の青田ケ原演習、慶応年間の仏ケ原演習)は、いずれも郊外で行われていること
などによるものです。
そうなると、Hさんの挙げて下さった「御殿の桜」のある場所はどうなるのか?という疑問が生じます。
これも私の推測になりますが、昔は、「御殿の桜」のある辺りまでが「竹ノ内」という地名で呼ばれていたのではないでしょうか。
注目したいのは、現在は御殿の桜がある地名が「上竹」と呼ばれていること。これは、「上竹ノ内」が短縮されて、現在の地区名として残ったのではないか?
……と、私は仮説を立てています。
二本松の郷土史家の方などにお伺いしてみれば詳しいことが分かるかもしれませんが、以上の理由から、私なりに二本松の「竹ノ内練兵場」の場所について、設定してみた次第です。
まとめ
それにしても、福島の「地名」も色々と意味が深いですね。当たり前のように読んでいた地名も、考察を巡らせると、土地選びなどの参考になるかもしれません。
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