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白と黄色と夏みかん

メディアパルさんのこちらの企画を拝見して以来、ずっと取り上げてみたい作品がありました。
それが、「白いぼうし」です。

最近、すっかり俳句の虜になっている私ですが、あまんきみこさんの作品をモチーフに、春の季語である「春帽子」で一句詠んだのがこちら。

春帽子空へ飛び出すあの子かな
【季語】春帽子

拙句

俳句を詠んだときは、ネタバレになるのであまり詳しく書かなかったのですが、夏みかんの爽やかな香り。男の子が被っていたであろう白いぼうし。そして、もんしろちょうの白やおひさまの光を染め付けたような、夏みかん。菜の花横丁という言葉の響き。

子供心にも、色の取り合わせが非常に印象深かったのでしょう。
俳句の仲間たちのお題で「春帽子」が出された時に、思い浮かんだのが、この作品でした。

そして、この原稿を書くにあたって改めて調べたら、6月初めの設定だったようです。

「これは、レモンのにおいですか。」
ほりばたで乗せたお客のしんしが、話しかけました。
「いいえ、夏みかんですよ。」
信号が赤なので、ブレーキをかけてから、運転手の松井さんは、にこにこして答えました。

出典:「白いぼうし」冒頭

あまんきみこさんの教科書作品では、「ちいちゃんのかげおくり」も有名ですが、初夏の情景があまりにも鮮やかで、俳句の世界にも登場させたくなったのは、こちらの「白いぼうし」でした。

俳句を詠んだときは小学校3年生の作品だと思っていましたが、調べてみると、どうやら4年生の教科書だったとのこと。

その時の担任の先生は、今ではもう亡くなられてしまったけれど、学校一怖いと評判の先生でした。
そんな先生ですら、にこにこして表情を和らげ、授業をしてくださったものです。

そして、松井さんが素敵すぎる。
だあれも、傷つけずに物語は終了するのですが、小作品ながら、本当に優しい世界が広げられます。。
もんしろちょうだけでなく、男の子とそのお母さんのその後のやり取りも、見てみたいなあ。

教科書だけではもったいない。
新年度、おやこでじっくり鑑賞していただきたい作品です。

©k_maru027.2022

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