この景色、巨匠が絵にしたら/実験1
私は昔から絵が好きで、素晴らしい景色に出会うと、「あぁ、この景色をモネが絵にしたら、どんな作品になるだろう?」「セザンヌだったら?」「北斎だったら?」「広重だったら?」と思いを巡らせることがありました。といっても、私の技術では模写風に描いてみるなど全く不可能―普通に写生できるかどうかも怪しい―ので、その思いはかなわぬ夢だと諦めていました。
ところが、ところが、です。その夢がかなう時代がやってきたではありませんか。画像生成Aiアプリが発達したおかげで、気に入った景色を写真に撮っておけば、それをAiで巨匠の絵画風に変換できます。
そこで、ちょっと古い写真ではありますが、今年の4月に近所の公園で撮った写真を巨匠の絵画風に変換してみることにしました。
楽しみは人とシェアするとますます楽しくなると言います。この実験を面白がって眺めていただけたなら、こんな嬉しいことはありません。
元の写真はこちらです。 木々の間に見えるのはテニスコートです。撮影しながらテニスコートの場所に池か川があったら、もっと面白いだろうなと思っていました。
そこで、水にちなんだ傑作が多いモネの油絵に変換することにしました。元写真を画像生成AiアプリのLeonardo.Aiにアップロードして変換してもらいました。
変換の基本設定となるPrompt detailsとimage guidance input をそれぞれ
※Prompt details
=oil paint, Claude Monet
※image guidance input
= Image to Image
に固定して、元写真の縛りの強さを規定する Strength を 0.9 から始めて徐々に弱めていった結果が次の4点です。
私が期待していたイメージに一番近いのはStrength 0.46設定の作品でした。再掲します。
今度は、同じ写真を歌川広重ふうに変換してみました。今度は初めから次の条件で決め打って、一発勝負にしました。
※Prompt details
=wood block print, ukiyoe, Utagawa Hiroshige
※image guidance input = 「Image to Image」
※Strength = 6.0
うーん......和のテイストにはなりましたが、これが広重かというと違う気がします。
LeonardoAiが浮世絵についてどのくらい学習しているのかちょっと気になってきました。同じ写真、同じ変換設定で北斎も作らせてみます。
※Prompt details
=wood block print, ukiyoe, Katsushika Hokusai
※image guidance input = 「Image to Image」
※Strength = 6.0
あれ~、違いが見えないですね。あまり学習していないのかぁ?
うーん、なんだか、「西洋画家同士なら、違いが分かっているのだろうか?」と気になってきました。同じ写真でセザンヌもいってみます。
※Prompt details
=oil paint, Paul Cezanne
※image guidance input = Image to Image
※Strength=0.6
広重 vs 北斎よりは、「違いが分る」感じでしょうか? モネ版と比べると、木々、岩、水など、個々の対象物が堅固な質感をもって描かれているところがセザンヌ風だと思います。ただ、「おおぉ」と感嘆するほどの出来ではないような気もします。
どうも、今回は元写真があまり良くなかったような気がしてきました。誰が描いてもあまり違いの現れない景色を撮影してしまったのかもしれません。手持ちの写真を改めて精査した上で、Leonardo.Ai 以外のアプリも援用して、次の実験に挑戦したいと思います。
私は、写真だけでなく手描きの抽象画とイラストもAiで巨匠の絵画風に変換する実験をしています。そちらでの経験も踏まえてAiの創造性について考えを整理した記事がこちらです。併せてご覧いただけると幸いです。
今回は、ここまでとします。次回も、是非、お付き合いください。よろしくお願いいたします。
次回はこちら: