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反-反捕鯨論

1) 旧約聖書(レビ記)では海や川に生息するもののうち、ヒレ、ウロコのないものは食べることを禁止しており、タコ、イカ、エビ、貝類と共にイルカなどをあげている。

ユダヤ教徒・キリスト教徒である欧米人は野生動物愛玩動物家畜とをはっきり峻別して、家畜はあくまでも人間に食べられるために飼育されていると合理化して考えて、屠殺し食べることに罪の意識を抱かない(例:フォアグラ)。

だから、どんな物にもあまねく命が宿ると見なすアニミズム生類憐みの情を抱く仏教的な考えに基づいて彼らを批判しても、全く意に介さない。

を神聖視して食べないヒンズー教徒を不浄視して食べないイスラム
教徒
も 他国の食文化には口出ししない。ところが世界宗教であると自負し
正義だと信じる己の教義を世界中に布教して神の国をこの世に実現しようと
するキリスト教徒は世界中の各地域の文化を下等・未開・野蛮だとみなして
あくまでも彼らなりの善意から、口出しし破壊して来た。
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2) 日本人も本来は仏教徒であり、陸上の4足の動物の肉は殺生して食べてはならない禁忌の対象になっていた。実はこの考えの延長線上に鯨肉を食べる食習慣もある。つまり、基本的に2足鳥肉(注1)やや2足で歩く兎肉(注2)のほかは魚介類で動物性たんぱく質を摂取していた。も海に生息する足のない魚介類として仏教的には食べることを許されていたわけだ。しかも鯨一頭一頭に戒名をつけ供養までしていた。
鯨の墓 The grave of whales

(注1) 「がんもどき」は「雁擬き」であり、雁の肉に似せた精進料理
(注2) 兎は”鳥”に見立てられるので、「1羽2羽」と数えられる。
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3) ところが、科学史家のリン・ホワイトが指摘したように(注3)、キリスト教の場合は”神の似姿”としての人間が神からの委託・契約によって自然を支配するという考えのもとで、動物の中でも人間が食用に利用される牛や豚などの家畜は他の動物と差別され、どんどん屠殺され消費される。畜産がいかに環境を破壊しているにも拘らず。

(注3)Lynn White, Jr. regarded the following beliefs as "The Historical Roots of Our Ecologic Crisis"; The Bible asserts man's dominion over nature and establishes a trend of anthropocentrism. Christianity makes a distinction between man (formed in God's image) and the rest of creation, which has no "soul" or "reason" and is thus inferior. [Wikipedia]

創世記の記述:「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物を全て支配せよ」

文化人類学者フロレンス・クラックフォーンの文化の3類型
1))人間が自然に支配される文化
2))人間が自然と共生する文化
3))人間が自然を支配する文化>文明化>西欧化>近代化
世界の西欧化の思想的基盤がキリスト教であり、その先兵がグローバリストとしてのキリスト教の宣教師たちであった。

私事:因みに、僕はリン・ホワイト(Lynn Townsend White Jr.)の環境倫理学の見解を知ったことをきっかけにして、それまでイエズス会カトリック系ミッション大学の哲学科の学部生 (リーゼンフーバー神父かつ教授のゼミに所属) であったのだけれど、その大学の大学院への進学を断念した。ドノヴァン主題歌でも有名で、映画「ブラザー・サン  シスター・ムーン」のモデルになった、ヒッピーの元祖とも云われるアッシジのフランチェスコに憧れ、ヒッピー・コミューンにも共振 (コミューン) する階級闘争のないユートピア(理想郷)を目指した「新しき村」の実験をした武者小路実篤らの日本の白樺派にも影響を与えたトルストイの『人生読本』で知った汎神論的な自然主義 (Naturalism)思想家のラルフ・エマーソン ( 彼は、『ウォールデン 森の生活』ヘンリー・ソローにも影響を与えたと云われる) にも興味を抱いたので入学した大学ではあったのだけれど、思想的に転向して他の大学の大学院に進学した。(余計な追記:試験は英語とドイツ語の読解問題のいずれかを選択ということで、どちらでも良かったけれど英語を選択、「行列」を”queue”と記していたので、多分英国系の社会学者が書いた論文の一節だったのだろう。「貧困」について論ぜよ、ということだったので、マルクスの「絶対的貧困」と「相対的貧困」、米国で論争になっていた「バーロ統計」、ガルブレイスの『ゆたかな社会』の「依存効果」、イリイチの「稀少性の捏造」などの消費社会分析、先進国の後進国への搾取的国際関係論に言及。元々、当時ビートルズ研究で有名だった教授がいた大学で指導を仰げるかと思ったのだけれど、運悪く僕が入学した年度から彼は米国に渡り研究するということで、希望は叶わなかった。)しかしその大学院の教授たちたるや、共産党系と旧社会党系間の派閥争いがあまりにも露骨で失望してしまった (派閥には関係ないだろうと思って指導教授になってもらったのに、彼から借りた本の中に、何と寄付したのだろう共産党からの領収書が挟まっていたw)。結局、マルクス主義グローバリズムの一亜種であるという認識を得て、思想的に受け入れられるものではなかった。(で、もっぱら恩師と慕う社会学者の鶴見和子教授の、結局母校のゼミに参加していた。同じくその頃、恩師の玉野井芳郎教授にも誘われ「地域主義研究集団会」にも参加していた。)
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4) 牛肉輸出大国豪州がなぜ10年来の旱魃にみまわれているかと言えば、畜産は大量のメタンガスを排出し大量の水を消費し地球の水循環を狂わせ環境を破壊しているからだ。その国が世界最強の反捕鯨国なのである。

しかし商業捕鯨をするにしても海洋資源の保全をあくまでも目指す日本の捕鯨は、昔の欧米のように油などのごく一部を獲ったら他は 捨ててしまうような搾取的捕鯨ではない。鯨がいなくなれば商売も上がったりなのだから、日本の捕鯨が鯨を取りつくすことなどあり得ない。

食物連鎖の最上位に鯨を位置づけている限り、むしろ海洋生態系はバランスを崩す。だかこそ、むしろ人間が適度に鯨を間引くほうが環境保全には良いのである。その環境保全のためにこそ、鯨を食べ、牛肉豚肉は極力、摂取を控えるべきなのだ。
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資料:
捕鯨問題  プロパガンダ戦争 whaling:propaganda war
A fiction of environmental protection:偽りの環境保護
反捕鯨に物申す  anti anti-whaling
鯨の墓  The Grave of whales
イルカのほうが日本人よりも価値があると言う反捕鯨論者 [Whaling] Colored people lower than whales
反捕鯨の豪州がやっていること The hypocrisy and racism of Australians
「捕鯨」の問題を持ち出すことで儲ける人達がいる  Hypocrisy: People profiting from the whaling problem
──以上は、英語字幕付き動画

イルカ漁等に対する和歌山県の見解
1 なぜ、和歌山県はイルカ漁の許可をしているのか
2 イルカ漁はかわいそうなので、知事の権限で止めさせたらいいのではないか
3 欧米諸国は捕鯨をやめたのに、なぜ和歌山県では続けるのか
4 日本だけが捕鯨を行っているのではないか
5 米映画『ザ・コーヴ』について
6 水族館用イルカ生体販売は単なる金儲け、狭い水槽に閉じ込められてイルカがかわいそう。やめるべきではないか?
7 イルカを殺して食料とすることを、伝統や文化と呼ぶべきではないのではないか
8 日本は経済大国であり、鯨やイルカを食べなくても生きていけるはずではないか
9 イルカ漁は、日本のイメージを下げ、国益を損なうのではないか
10 イルカは知的で親しみある動物なのに、どうして日本では食べるのか
11 イルカ肉には高濃度の水銀が含まれているが、食用に用いるのは安全か
12 イルカ肉の摂取は水俣病につながるのではないか
13 イルカ肉がまぎらわしい表示で販売されていたら指導するのか
14 太地町のイルカ捕獲方法は非人道的ではないか
Wakayama Prefecture Official View on Dolphin Fishery at Taiji 英語版

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