うれしくない。

コンビニに入るとき、 すれ違うように 何人かで出ていった人達がいた。


懐かしい雰囲気を感じたけど、
すぐには気づけなかった。

その中に君がいたってこと。


私が知っていた頃より、大人っぽくなった雰囲気。


私が知っていた頃より、低くなった声。

私が知っていた頃より、随分伸びた背丈。


ちっとも嬉しくない。


知らない間に君にはたくさん変化があって


それを知らないのが悔しい。


『あの子は知っていてもわたしは知らない。』


それがなんだか、負けているように思えた。


あの頃はたくさん思い出もあったのに
思い出そうとすると、消えてしまいそうなくらい
脆くて儚くて、幼いものだ。


いざ、昔の君の声を、言葉を思い出そうとしたって
どうしても思い出せなくて、
記憶の中にある君に手を伸ばしても
届かない。


一緒に積み重ねたはずの思い出も
濁っているようで、鮮明じゃないし、
全てが幻だか夢だかのように感じる。


それでもね、

コンビニから1回出て確認した君の後ろ姿は
間違えなく、わたしが大好きだった君だったんだよ


そんなことを思い出させてしまう君と
心がすれ違ってしまったことも
さっき、すれ違ってしまったことも
全くうれしくない。


何回同じことを考えたって、うれしくないよ。



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