「エンテレケイア」可能性を現実に変える力
エンテレケイアとは?目的と成長の原理
エンテレケイアは、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが考えた「内なる力」です。私たちは誰しも、何かしらの「可能性」を秘めていますよね。でも、それが実際に形になるのはどうしてでしょう?例えば、花の種が花に、子供が大人に成長するように、どんな存在も「完成形」へと進むための力を持っている。これがエンテレケイアの根本的な意味なんです。
エンテレケイアの成り立ち
アリストテレスが使ったエンテレケイアは、「エン」(内に)、「テロス」(目的)、「エイヘス」(持つ)から来ています。つまり「目的を内に持つ」──すべてのものが内に完成形を秘め、それを目指して成長している、という考え方です。
エンテレケイアの例え
わかりやすい例をあげると、種子。種には「木になる可能性」がありますが、種のままではまだ木ではありません。でも、適切な環境が整うと、やがて木として成長します。ここで働いているのが、エンテレケイアです。
対照的に、たとえばパソコンにはエンテレケイアはありません。パソコンがそのまま自然に「成長」して完成品になることはありません。必要な部品を揃え、エンジニアが一つひとつを組み立ててようやく完成します。パソコンには「内なる目的」や「成長の力」がなく、外部の力によってのみ形になります。
つまり、エンテレケイアとは、「内なる目的に向かって成長する力」を備えている存在にしかない性質なのです。
人間の自己実現とエンテレケイア
アリストテレスは、エンテレケイアを人間の自己実現にも当てはめて考えました。たとえば、私たちはみな、理想の自分ややりたいことがあり、それを追い求めて成長し続けることを目指しています。ここで面白いのは、私たちが何かを成し遂げるとき、それはただ偶然や流れに任せて起こるのではなく、内なる力が働いているという考え方です。
あなたも何かに挑戦するとき、あるいは新しいことを始めるとき、心の中で「本当の自分はこうあるべきだ」と感じることがあるかもしれません。それがまさに、エンテレケイアが語る「目的に向かって自己を動かす力」なのです。
エンテレケイアと「目的因」
アリストテレスは「すべての存在には目的がある」と考え、これを「目的因」と呼びました。エンテレケイアは、この目的因と密接に関連しています。つまり、私たちは誰もが内に「完成形」を持ち、それに向かって成長する力があるということ。私たちが感じる「こうありたい」という思いは、単なる願望ではなく、実は存在の本質に基づいた強い力なのです。
エンテレケイアの力を信じて成長する
エンテレケイアは「内なる可能性を現実化するための力」として、私たちにとっても大きな示唆を与えてくれます。「もっとこうなりたい」「もっとできるはずだ」という想いを持っているなら、きっとそれは自分のエンテレケイアが呼びかけているのかもしれません。その声を信じ、自分の「完成形」に向かって一歩を踏み出してみませんか?