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本来あったかもしれない売上金額は、売上台帳からはわからない

※本文の内容とタイトル画像は無関係です。

新型コロナウイルス感染症(以下略してコロナ)に伴う各企業での教育機会の消失のせいか?はたまた、私のチェックが年を経て厳しくなったのか?利用する飲食店での接客、BtoBでの商談、外部からかかってくる営業電話等、営業を受ける立場として、残念に思うことがここのところ多い。この問題は、おいおい取り上げていきたいが、本日は具体的に、先日飲食店で受けた接客から。

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とはいうものの、今回の件は接客を行ったスタッフの資質っていうには酷な気がする。どちらかというと、会社としての方針もあるのかな。最初にフォローしておく。

さて、私が今拠点としている金沢も、コロナもだいぶん落ち着き、ありがたい話でわざわざ足を運んでくれる知人もチラホラ。先日も駅のそばで昼食も兼ねて商談。カフェで打ち合わせ後、場所を移動して食事に。

せっかく金沢に来ていただいたので、こっちとしても、美味しいものを食べて帰っていただきたいな、って心底思う。夜のアルコール付きの会食に比べると、金額もたかが知れている。一人2、3千円もあれば、十分に満足できるはずである。シラフだし、互いに午後の予定もあるからダラダラと、ってこともない。

ってことで、ある程度の予算を思い描きながら、それとなく決めていたお店にチェックイン!

入り口でスタッフに半個室を案内いただく(多少背伸びをしてでも、コロナ対策がしっかりとなされたお店を選びたいですよね)。

その前に…。確かに、知らなかったかというと嘘になる。この店のメニューに、5千円クラスの特別な料理があることを。店側もそれを売りにしていることを。でも、そんなものは、当日のアドリブでどうにでもなる、と思っていた。「昼から、これはボリュームが多いですよね…」でスルーするとか、さり気なくそのページがないこととして注文を選ぶとか(小さい人間だ)。たいてい、相手もわかったもので、阿吽の呼吸で対応してくれる。文脈からもこちらが払うことがわかっているので間違っても「この店は、有名な〇〇があるはずですけど」とか「もうちょっと、豪勢にいってもいいんじゃないですか?」なんて言ってくる人はいない。そんな人は、もっと手前の段階で意思の疎通が取れずに、ご縁がなくなっているものだ。

言い訳がましいが、5千円が高くて悪いとか、見合わないとか、お金がないとか(ないけど)、そういう意味ではない。夜の会食だって、なんだかんだで5千円以上かかることもあるから、ビックリした額ではない。ただ、それはそれで、そういう一連のストーリーの中の演出として生きてくるのである。別に、この日はそういうストーリーで動いていない。もっというと、この日のストーリーはランチ2、3千円のストーリーなのだ(小さい人間だ)。5千円のストーリーは、やるとしたら、商談が上手く進んだ次の段階でだ。今じゃない。

さて、席についてメニューを…と、その瞬間にスタッフが説明を始める。「当店のオススメはこちらの〇〇でして、■■を△△して…」。

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おい、何言ってんだ、やめろって。誰がそんなこと頼んだ?!

「いかがでしょうか?」

これが気心の知れた身内ならいい。「いや、いいや」で済む話である。ただし、目の前で説明を聞いているのは身内ではない。「いや、いいや」で済ませるには、微妙な関係だ。

「じゃあ、それ2つで」

と、結局、中途半端に見栄っ張りだから、心で思っていることとは裏腹のオーダーをしてしまう。

もちろん、美味しかったし、5千円に見合う食事だと思う。お客さんも喜んでくれた。食事だけでもなく、雰囲気もいいし。

ただし、頭の中にはインプットされる。

次にこの店を利用するときは、5千円の料理をオーダーするときだな

でも実際には5千円クラスのランチのストーリーなんて頻繁にないわけで、残念ながらもっと頻度が多いかもしれない2、3千円のランチは今度から他の店を利用することになるだろう。かくして、不思議なことに、このお店は色々な価格帯のメニューがあるのに、私の中では5千円の料理一択のお店になってしまったのだ。

このスタッフの機転なのか、店側が用意しているマニュアルなのかはわからない。相手を見ての柔軟な対応なのか、一律そういうトークなのかもわからない。でも、少なくても、この日、お店が私から受け取る売上単価は上がった。当初私が想定していたよりも倍近い金額を支払ったことになる。これはお店にとっても良いこと。

おー、オススメの一言を差し込んだら、やたらと売上単価が増えたぜ!この路線でしばらくやってみよう!

というようなやり取りが、先方でなされているかもしれない。はっきりと数字でも確認できるし。

一方で、もし冒頭のオススメがなければ、この日は当初の私の予算どおり一人2、3千円の売上しかなかったかもしれない。それでも十分に満足した私は、今後、定期的にこのお店を利用したであろう可能性は高い。2、3千円/人が毎回積み上がっていくのだが、残念ながら、この売上は他のお店に移ることになる。これは、もしかしたら悪いことなのかもしれない。ただ、機会損失は、なかなか数字には表れない。本来は、あったはずの売上が、本日いくらなくなりました、なんて帳簿じゃわからない。だから、なかなか検証されづらいのではないかと思う。

いったい、このスタッフやお店は、いつ、どうやってこの事実に気づくのだろうか…。


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