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可及的速やかに
そこまで深く考えないで尋ねたことに対して、相手が回答に困ってしまう。そういう日常のズレが起こることがある。
最近、気になるのが「何日までに、回答したらいいですか?」、「いつ頃までに、納品できればいいですか?」という問いへの回答。
意外と回答の選択肢があるようで…ない。
厳密には具体的な日時が設定できなくもないんだろうけど、面倒だから、だいたいが「できるだけ急ぎで」になってしまう。実際にはそれほど急ぎじゃないにしても、早いに越したことはないに決まっている。ただ、これがなかなか伝えづらい。だいたいが、こちらからの(ときには無理な)依頼に対する先方の回答になるわけで、「お忙しいところもうしわけないのですが、できるだけ急ぎでお願いします」と伝えるのも憚れてしまう。ちょっとしたことだが、返答にストレスを感じてしまう。脳のリソースを使ってしまう。何様だよ、お前。
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一方で、確認する方も、悪気があるわけではない。場合によっては、「なんとなく、聞いておこう」程度だ。これは、自身も無意識にやっているような気もする。だから、相手から「できるだけ早く」と聞いたそばから流している。まあ、ある意味予定調和なやりとりだ。
そうなると、このやりとり必要?と思うのだ。
そこで、最近は自身の戒めとして、以下のルールを設定している。
まず、確認する側として。
「急ぐなら、若干費用が割り増しになりますよ」
「少し質を犠牲にしていいなら、早くできますよ」
先の展開にこういったやり取りがあるなら、相手に納得してもらえそうな気がする。スピードとそれにトレオードオフとなるコストやクオリティが加わるから、脳のリソースを使ってもらう価値はあるだろう。意味のある会話となるのではないか?
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また、実はしばらく仕事が立て込んでいて、早めのフィードバックができないことを伝えたいなら、それをそのまま伝える。もしくは感触を探るなら「結構、急がれますか…?」といったところか。「いつまで」とか、「何日まで」よりも、「急ぐか」、「どうか」の方が相手は回答しやすいだろう。その上で、必要であれば、上記トレードオフの話をしてもらってもいいかと。
次に、確認される立場として。
最近は、一律、何も考えずに「可及的速やかにお願いします」という回答を多用している。特に意味はない。とりあえず「可及的」と使ってみたいだけだ。
今は、休日の午前中のカフェ。もう昼だ。お腹が空いた。
ということで、早く原稿を書き終えて、「可及的速やかに」昼食を食べたいと思う。
使ってみたかっただけだ。