直前期 頻出知識の総整理(地学分野)
中学入試理科の地学分野は、太陽、月、星、天気、川、地層と岩石、火山、地震、環境問題などから出題されます。
生物分野同様、覚えるべきことが非常に多く、知識を整理して覚えておかなければ得点に結びつきません。
そして、苦手意識がある多くの受験生が、この分野の知識の整理ができていないのが現状です。
言い換えると、入試に出る覚えるべきポイントを正確に暗記しておくことで周りに大きな差をつけることが可能になります。
今回の記事では、地学分野で出題されやすい要点をコンパクトにまとめておりますので、是非ご活用ください。
なお、天体分野は特に苦手としている受験生が多く、覚えることも多いので、別の記事に掲載しております。
太陽の高さ・地温・気温
・太陽の高さ
最高高度は正午
・地温
最高温度は午後1時
・気温
最高温度は午後2時
百葉箱
・百葉箱の高さは1.2m〜1.5m
・白色(日光の放射熱を吸収しにくい)
・よろい戸(風通しが良い。雨も入らない)
・扉は北向き(直射日光を防ぐ)
・芝生の上に設置(地面の反射を防ぐ)
雲量と天気
雲量
空全体に対する雲の占める割合であり、天気は雲量によって快晴・晴れ・曇りの3つに分けて表される。
・快晴:雲量が0~1
・晴れ:雲量が2~8
・曇り:雲量が9~10
雲の種類
雲は、できる高さと形によって10種類に分類されます。
その中でも、以下の内容は必ず押さえておいて下さい。
( )で表記している別名も必須です!
上層の雲
・巻雲(すじ雲)
・巻積雲(うろこ雲)
・巻層雲(うす雲)
中層の雲
・乱層雲(雨雲)
・高積雲(ひつじ雲)
低層の雲
・積乱雲(入道雲)
・積雲(わた雲)
雲の特徴について
・水滴や氷の粒の集まりを雲という。
・台風は、積乱雲が集まってできている。
・巻雲は、一番高い場所で発生する雲。
・積乱雲は、雹(ひょう)を降らせる雲である。
・雨を降らせる雲は、積乱雲と乱層雲。
・積乱雲は、短い時間に強い雨を降らせる。
・乱層雲は、広範囲に穏やかな雨を降らせる。
観天望気(天気のことわざ)
・ 猫が顔を洗うと雨
・夕焼けの次の日は晴れ
・クモの巣に露がつくと晴れ
・日がさ・月がさは雨
・ツバメが低く飛んだら雨
余裕があれば、理由まで確認してみてください。
例えば、「ツバメが低く飛んだら雨」というのは、ツバメは虫を捕まえますが、湿度が高くなると虫の羽が重くなり、虫が高く飛べなくなるため、ツバメが低く飛ぶようになります。
偏西風
偏西風が年間を通して吹いている。
※地球が、西から東へ自転しているから。
この影響により、天気は西から東へ変わる。
風向・風力
・風向:風が吹いてくる方向を16方位で示す。
・風力:風の速さを表し、0~12の13階級
等圧線
等圧線とは気圧の等しい地点を結んだ曲線。
1000hPaの線を基準として、通常4hPaごとに線を引き、20hPaごとに太線を引く。
高気圧と低気圧
高気圧
・周りより気圧が高いところで、高気圧からは時計回りに風が吹き出す。
・高気圧の中心では下降気流が生じる。
・雲が発生しにくいので天気が良い。
低気圧
・周りより気圧が低いところで、低気圧からは反時計回りに風が吹き込む。
・中心付近では上昇気流を生じ、雲が発生しやすいので天気が悪くなりやすい。
※風は高気圧から低気圧に向かって吹きます。
海風と陸風
海風
海から陸に、昼間に吹く風
昼間は海よりも陸の方が温度が高くなり、陸地で上昇気流が発生する。
陸風
陸から海に、夜間に吹く風
前線
温暖前線
・主に乱層雲を伴う。
・長時間、広範囲に、おだやかな雨
・通過後は気温が上がり、南よりの風が吹く。
寒冷前線
・主に積乱雲を伴う。
・短時間に、せまい範囲に強い雨を降らせる。
・通過後は気温が下がり、北よりの風が吹く。
停滞前線
・6月~7月の梅雨の時期に生じる停滞前線を梅雨前線という。
・9月~10月の秋の時期に生じる停滞前線のことを秋雨前線という。
飽和水蒸気量
1㎥の空気中に含むことのできる限界の量。
※温度が下がると飽和水蒸気量も小さくなる。
冷たいコップに水滴がつく理由
コップの周りの空気が冷やされ、飽和水蒸気量が小さくなります。
そして、空気に含みきれなくなった水蒸気(気体)が、水滴(液体)となって出てくるためです。
※この時の温度は、露点といいます。
夏の天気
・南高北低の気圧配置となる。
・南東の季節風が吹く。
・蒸し暑く、夕立ちもあるが晴れた日が多い。
冬の天気
・西高東低の気圧配置となる。
・北西の季節風が吹く。
・日本海側は雪
・太平洋側は乾燥し、良い天気が続く。
台風
・最大風速が17.2m/秒以上
・台風をつくる雲:積乱雲
・熱帯低気圧が発達したもの
・台風の東側では、雨や風が強まる。
・台風の中心は台風の目と呼ばれており、風はほとんど吹かない。
様々な気象現象
・エルニーニョ現象
ペルー沖の海面温度が通常よりも高い状況のことをいいます。
日本では、夏は冷夏となり、冬は暖冬になることが多いといわれています。
・ラニーニャ現象
エルニーニョ現象の逆で、海面温度が通常よりも低い状況のことをいいます。
日本では、夏は猛暑になりやすく、冬は寒冬になると言われています。
・フェーン現象
水蒸気を含んだ(湿った)空気が山を越えるとき、風下側の気温が上がる現象のことです。
火山
・日本には活火山が111ある(2024年時点)
・マグマ:火山の地下にあり、岩石が溶けた高温の物質
・マグマだまり:火山の地下で上昇してきたマグマが一時的にたまる場所
・溶岩:マグマが地上に流れ出たもの。
・火砕流:火山灰が高温の火山ガスとともに高速で流れる現象
火山噴出物
※火山の噴火によって火口から噴き出したもの
・火山ガス:主成分は水蒸気、二酸化炭素
・火山灰 :2mm以下のもの
・火山れき:2mm以上64mm以下のもの
・火山弾 :64mm以上
火成岩
火成岩:マグマが冷えて固まった岩石。火成岩は、冷え方の違いにより以下の2種類に分けられる。
・火山岩:マグマが地表近くで急に冷えて固まってできる。
玄武岩 安山岩 流もん岩
※結晶が細かい。
・深成岩:マグマが地下深いところでゆっくりと冷えて固まってできる。
花こう岩 せん緑岩 はんれい岩
※結晶が大きい。
鉱物
鉱物:マグマが冷えてできた結晶のこと
・無色鉱物:白色や無色透明な結晶
セキエイ:無色~白色 不規則に割れる。
チョウ石:無色か白色、規則的に割れる。
・有色鉱物:色がついている結晶
クロウンモ:黒色。うすくはがれる。
カクセン石:長い柱状
キ石 :短い柱状
カンラン石:不規則に割れる。
地震
・震源:地震が発生した場所のこと
・震央:震源の真上の地表の地点のこと
・P波:初期微動を引き起こす波で速度が速い。
・S波:主要動を引き起こす波で速度が遅い。
・初期微動継続時間:初期微動が始まってから主要動が伝わるまでの時間
・震度:観測地点のゆれの大きさで0~7の10階級
・マグニチュード:地震の規模の大きさ。
1大きくなると、地震のエネルギーが32倍
2大きくなると、32×32で約1000倍
※震度は場所で変わりますが、マグニチュードは1つの地震で1つです。
地層のでき方
・大きさ順:れき(小石)>砂>泥(ねん土)
・土砂の粒が小さいほど、流水の流れによって沈みにくく、れき<砂<泥の順に遠くで堆積します。
・大地の変動がない限り、上にある地層ほど新しい。
流水の3作用と地形
・浸食 :陸地をけずる作用
・運ぱん:削り取った土砂を運ぶ作用
・たい積:運搬した土砂を底に積もらせる作用
上流は、浸食作用でV字谷ができる。
上流から中流では、たい積作用で、扇状地ができる。
河口は、たい積作用で、三角州ができる。
川の流速
・上流は、傾きが急になっていて、水の流れは速い。
・下流は、川幅が広くなり、水の量も多くなっている。川底の傾きがほとんどないので、水はゆっくりと流れており、たい積作用が盛ん。
・川が直線のときは、川の中央が最も流れが速くなる。そのため川の中央が深くなっている。
・川が曲線のときは、川の外側ほど流れが速くなる。そのため、川の外側が侵食作用により削られる。
石灰岩とチャート
・石灰岩
やわらかく、引っかくと傷がつく。
塩酸をかけると二酸化炭素が発生する。
主な成分は炭酸カルシウム
・チャート
かたく、引っかいても傷がつかない。
化石
化石:生物の死がいや巣などの生活の跡などが、地層の中で石のようなものになったもの
・示相化石:地層が堆積した当時の環境を知る手がかりとなる化石
(代表例)
サンゴ:あたたかくてきれいな浅い海
シジミ:河口や湖
アサリ:浅い海
・示準化石:地層が堆積した当時の年代を知る手がかりとなる化石
(代表例)
【古生代の化石】
三葉虫
フズリナ
【中生代の化石】
恐竜
アンモナイト
始祖鳥
【新生代の化石】
ビカリア
ナウマンゾウ
マンモス
大地の変動
・しゅう曲:地層が左右から押される力により、波打つように地層が変形
・断層:地層に大きな力がはたらき、地層にずれが生じたもののこと
正断層:左右から引かれる力によって生じる断層を指す。
逆断層:左右から押される力によって生じる断層を指す。