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B級映画の女王マリー・ウィンザー出演作

マリー・ウィンザーは、B級映画の女王なので、そういう作品が多い。B級映画は本当に多種多様で、映画沼地の奥深さを感じずにはいられなかった。
むしろ、一流映画よりもとっつきやすいのが多くて、映画はこういうのでいいのではないかと、B級映画群に洗脳されつつある。
マリー・ウィンザー出演作をまとめて簡単に紹介しておこう。

女囚大脱走 1956

B級映画の帝王、ロジャー・コーマン監督作に、B級映画の女王、マリー・ウィンザーが出演。
女囚集団、ジャングル逃亡、キャットファイトなどB級要素満載。カルトなB級映画らしさでは、これが一番かもしれない。
マリー・ウィンザーは女囚の女ボスで、一人だけ背の高さが抜けていて貫禄十分。

アウトローの女 1952

女性の集団が町全体を支配するという、当時の西部劇ではほとんどSF的な発想の映画。
マリー・ウィンザーはその女ボスといういわばはまり役で、男たちと丁々発止にやりあう。
但し結末はこういう設定を全否定するようなものなのが、時代の限界を感じさせる。

背高きテキサス人 1953

金採掘がテーマの西部劇。
マリー・ウィンザーは、珍しくファムファタールでも悪女でもなく、普通に男を愛する女の役である。やっぱり、やたら気は強いけれど。
こういう役だと、普通に彼女の美しさが引き立つ。

ケンタッキー魂 1949

これはB級ではなく、ジョン・フォード作品に脇役で出演している。
ジョン・ウェインとのからみが多い。いきなり得意の歌を披露する。ウェインに優しくするので珍しい役かと思いきや、やっぱりファムファタール、悪女だった。
こういうイメージが定着しすぎたのが、彼女のキャリアを邪魔したのかもしれない。ウェインと恋仲になる主演女優よりも、正直はるかに美しいのだが。
それにしても、彼女は結局殺されてしまう役が多い。

悪の力 1948

フィルム・ノワールでマリー・ウィンザーは主人公を誘惑するチョイ役。
彼女が注目されるキッカケになった作品で、ファムファタールのキャラクターがこれで決定づけられたのかもしれない。
確かに、彼女の吸い寄せられるような妖艶な魅力がよくでている。

東は東 1952

山口淑子主演で、アメリカ家庭に嫁入りした日本人が人種差別やイジメに苦しみ、それらに耐えて戦う物語。
マリー・ウィンザーはその陰湿なイジメをする、ある意味とてもらしい役ではある。その悪事がバレて彼女の旦那にものすごい勢いでぶん殴られたりする。

狙撃者 1952

マリー・ウィンザーは主人公の狙撃者と、ちょとだけからむだけの役である。

眠りなき街 1953

フィルム・ノワールで、マリー・ウィンザーは不倫をしてそれが原因で殺人事件に巻き込まれる。
やっぱり、アッサリ殺される。どうも役上で軽く見られがちなところがあって気の毒である。

ビッグケーヒル 1973

ジョン・ウェイン主演の西部劇。
マリー・ウィンザー出演作では後期のもので、当時54歳。
美しさは衰えてないし、それよりも役のせいもあるが、イヤなところが少しもない温和な感じに驚かされる。プライベートでもよい歳の重ね方をしたのだろうなと感じさせる。
若い頃のファムファタール、悪女役ぶりが信じられないくらいに。
以前にもFOXの記事からこう引用した。
マリー・ウィンザーは、実は「狼の皮をかぶった羊」で、非常に倫理的で優しい人で、それでいて非常に邪悪な役を演じることが多かったのだと。
まさしく、こういう人格の女性が歳を重ねてそういう内面が外見にも隠せず現れたのだという気がする。
女優は、彼女とは逆のパターンが多いような気もしないでもないので、ちょっと感慨を覚えた。
スクリーン上では強烈なファムファタールだった女優が、派手な映画世界に振り回されることなく、リアルでは本来の穏やかで優しい人間性、性質を大きく育てていったのだと。

さて、これで日本でも有数のマリー・ウィンザー通になったのかなと言いたくなる。
でも、本当の映画マニアは半端じゃないので、この程度はごくごく常識だという方々がいくらでもいるのでしょうね。

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