人気小説の書き技を徹底解説 〜タナトスの誘惑編~
YOASOBIさんの、有名曲「夜に駆ける」。
これは、ある小説から作られましたが、
今回はその「タナトスの誘惑」の書き技で、とても魅力的な部分を解説してみたいと思います。
小説はこちら。
実は、この曲&ストーリー。
自殺(死神)がテーマなのですが、内容はもちろんのこと、引き込まれたのが作者の書く技法。
前半は、主人公男性の「キチキチ感」が伝わるような行間で。
そこに、美しい彼女(死神)があらわれるごとに、どんどん空行がふえてまいります。
彼女との出逢いから、まさに“空気”が変わり。
いえ、そもそも儚い架空存在である彼女は、どこか近寄せない空気感をもち。
それが、彼女のセリフ登場のシーンでは、すべてに「空行」が入っているところからも、またなんとも逆に引き込まれる小説です。
そして、「そこ」にこそ惹かれていく彼。
また最後に、飲み込ませていくのも「そこ」で。
夜に堕ちて、溶けて。
どんどん空行がおおくなっていく後半からも、彼女の空気(オーラ)の方が強くなっているのもわかりますし、
そこに、場が支配されていく様も…
そして、最後に飲み込ませていくのも、結局 『そこ』 なのです。
* * *
夜に堕ちて、溶けて。
すべてに疲れた彼と、そんな彼からもっとも魅力的に映る彼女とのサイコラブストーリー。
彼女の支配がすすむ中で、
夜に、駆ける。
そして最期、二人は……
とても、魅力的な彼女を、またその魔力を「空行」によって表す技法。
無意識に、私たちもまた魅了されていきます。
どこか、儚い空気もつ彼女。
「本当に、生きてる?」と思ったときには、人間でもその魅力を確かめるべく、その
空 行
に逢いにいくのも、悪くないかもしれませんね。
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