拡大写本のぬくもり
私は、小学生・中学生・高校生のとき、拡大写本と呼ばれる、文字を大きくした教科書を使っていた。
現在は、パソコンを使って大きな文字を印刷した拡大写本もたくさん出ているが、当時は全てボランティアさんによる手書きの拡大写本〈教科書〉だった。
その拡大写本は驚くほど綺麗な文字で、丁寧に丁寧に教科書を再現して作っていただいた。
一冊の普通の文字の大きさの教科書が何冊もの拡大写本になる。
大きな文字に書き写すとなると、ものすごい時間や労力がかかったはずだ。
それをボランティアの会の方々が皆さんで協力して、同じ人が全て書いたのでは?と思うほどの統一された綺麗なものだった。
そしてとっても暖かみがあって、出来上がった拡大写本を受け取るたび、嬉しくなり、
「よし!これで全部読める!勉強がんばろう!」
と思えた。
教科書だけではない。
わたしは、読書が大好きな子どもだったので、【赤毛のアン】【若草物語】【窓際のトットちゃん】など多くの本を手作りしてくださった。
たくさん本を読めたから、自分でもたくさんお話を書いたりもしていた。
小学生新聞のリポーターとして、【窓際のトットちゃん】を読んだおかげで、黒柳徹子さんにインタビューできたこともあった。
拡大写本があったからこそ、勉強をがんばれて、読書をたくさんできて、大学まで行けたし、文字を読むことが苦じゃなくなった。
いまのわたしがいるのは、まちがいなく、ボランティアさんたち、そして一緒に手作りしてくれた母たち、皆さんの優しい拡大写本のおかげなのだ。
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