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毎晩夜中の2時ごろやってきた人たち
わたしが中学1年生の夏過ぎに、長く住んでいた団地から数キロ離れた同じ区のマンションに引っ越した。
住んでいた地域は、のどかなベッドタウン。海に近く、自然も感じられる街だった。
新しいマンションのあるところは、以前の団地のある地域と別の学区だった。
でも、中学1年生の夏ごろの引っ越しということで、中学校に友達が出来ていたことや、新体操部に入って頑張っていたことを考慮して、学校側から許可が降り、電車通学をさせてもらえることになった。
わたしはその新しいマンションが大好きだった。
デザイン賞か何かを撮ったことがあるというお洒落なマンションだったし、初めて自分の部屋を与えられたから。
団地のときは兄たちの部屋はあったけれど、わたしの部屋まで作れるほどの部屋数がなかったのだ。
だから、新しいマンションでの生活は本当に嬉しかった。
***
そんな、新しいマンションで暮らし始めて、驚くことがあった。
わたしの家は5階。5階のわたしの部屋の窓の前は、広い道路だった。目の前は駅だけれど、少し離れていたし、アナウンスも電車の音も響かない。
夜中の2時。毎晩現れる人たちがいた。
それは。
爆音を鳴らしながら、走って行く人たち。
窓の外を見ると、数えきれないほどのバイクが走っている・・・。
すごい音だった。それが毎晩だった。
当然、わたしは弱視で目が見えにくいので、初めて来たときにはなにが起こったのかわからず、親を起こしにいった。起こしにいったらみんな起きて溜息をついていたが・・・。
そこで、走っている人たちのことを教えてもらった。
数百台は走っていて、かなり激しそうだったそうだ。
それは・・・とても一般市民の大人では、注意をすることもできない。
すぐそばには交番もあるのに、全然意味がない。なんとかしてはくれなかった。
素敵なお洒落なマンション。昼間は穏やかで静かな場所だった。
自然豊かで周りの景色もよかった。
でも、夜中2時になると爆音がやってくる。
それでも、新体操部や学校生活に疲れて、爆音が過ぎるとまた眠れたので、そこまでのストレスにはなっていなかったのはよかった。
***
その出来事を、高校2年生のときに、高校の友達に話したことがあった。
住んでいた場所はどこで、毎晩こんなことがあって困っていたのよ、と。
「・・・ごめんね💦お姉ちゃんもそのなかにいたわ!」
というなんともびっくりな返答が😨
「・・・あ、ごめんね!おねえちゃんに言わないで!」
と冷や汗をかきながら、お願いした。
人はどこでつながっているかわからないなと思った出来事だった。
***
あれから時は流れて、あの爆音に出会うことは、ほかの場所に行ってもほとんどなくなった。
のどかな街のお洒落なマンションと夜2時の出来事。
懐かしい思い出のひとつだ。
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