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鬼堂廻
2021年7月13日 16:07
纏わりつくような厄介な熱とその空気をよりいっそう増長させる蝉の声が耳につく季節になった。もう夏だ。梅雨が明けたのか否か、あやふやな状態ではあるが、からりと晴れ渡った青空を見上げれば、もう気分は夏である。蝉の声が聞こえてくると、必ず読みたくなる本がある。京極夏彦著「姑獲鳥の夏」である。京極氏の鮮烈なデビュー作・姑獲鳥の夏はタイトルの通り、夏が舞台になっている。劇中の描写に蝉の声や暑さ