武道の呼吸法8
(補足説明-承前)
呼吸中枢では、呼吸の自律リズム・パターンを生成します。これが、横隔神経・肋間神経(肋間筋・腹筋)・舌下神経(上気道筋・舌筋)を通じて各筋群を駆動させ、さらには、発声・態度表情などに影響を与えるのです。
ところで、中国における動物実験において、強制的な肺の拡張・伸縮を行うと交感神経の緊張・副交感神経の緊張が誘発されることが確認されており、意識的な呼吸運動が自律神経に影響を与えることが証明されています。自律神経はヒトの消化・代謝・体温調整・血液循環を司り、臓器は交感神経(緊張=アクセル)と副交感神経(リラックス=ブレーキ)の二重支配を受けています。意識的な呼吸によって自律神経の働きを調整する効果があることが日本においても医学的に確認されています。これが呼吸法の効果(影響)なのです。
古来から発展継承してきた呼吸法の中核は、意識的にゆっくり行われる腹式呼吸(6回/分の頻度)です。吸気の際は交感神経が優位に、呼気の際には副交感神経が優位になることからこれをコントロールし、ゆっくりとした呼吸で肺のガス交換率を上昇させ、腹式呼吸を介して横隔膜を運動させることで内臓に刺激を与えその活動を活発化させるのです。
以上のとおり、呼吸法は、自ら体内の調整機能を改善する整体法と言えるものです。(補足説明-続)
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