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みんな抱えている
手話サークルの日だった
手話も大分理解できるようになってきた
今日は、新しい人もいたから、自己紹介をした
「心の病気」も、「うつ病」も、「薬を飲んでいる」ことも、「精神科に通院している」ことも、手話で話せるようになっていた
でも、今日の自己紹介では、心の病気のことは、話さなかった
名前と最近手話を始めたばかりのことを、手話で話した
心の病気のこと、話さなくてもいいかなと思ったから、私は黙っていた
でも、あのうつ病の若い子は、
「私はうつ病で、自宅療養しています。薬で太ってしまうので、歩いてここまで来ました。」
と手話で話した
聞いていた周りの人は、黙っていた
そのまま、サークルでは、手話で色々な話をして、楽しい時間を過ごした
帰り際、うつ病の若い子が、また言った
「うつ病の薬、なかなか合うのがなくて、やっと合ったと思ったら、今度は、太りやすいんです。」
と
あまりに、その子は「私はうつ病」、「私は心の病気」と、手話で表現する
聴覚障害者の一人が言った
「自分の病気のこと、そんなに話さなくてもいいよ。ここでは、黙っていていいよ。」って
それは、怒っているのではなく、
大丈夫だよ、みんなわかっているよ、同じだよ
と言っているみたいに思えた
サークルには、
聴覚障害者の方も沢山いる
また、声が出せない病気の方もいる
家族に障害のある子がいる方もいる
手話サークルには、色々な方が来ていた
でも、誰も自分のことを話さない
話す人も中には時々いるけれど、あまり病気のことばかり言わない
もちろん、身体障害者と精神障害者は違う
うつ病は見えないから、伝えないとわからないかもしれない
でも、そんなに、私はうつ病だ、心の病気なんだ、って、周りに言わなくてもいいのかもしれない
みんな、何か抱えているのだ
どんな病気も苦しい
聴覚障害者も、声が出せない病気も、みんなそれぞれの苦しみを持っている
だから、みんな心優しい
うつ病も同じなのだ
周りにいるのは、敵ではない
きっと、わかってくれる人や、わかろうとしてくれる人たちもいる
心優しい人たちと学べるこの手話サークルの時間は、安心して手話を学ぼうと思う