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毎日執筆チャレンジ@36日目
「ダメだよクマ! 戻っておいて!」
パーテーションの向こうから、これまた聞き覚えのある声が、随分と慌てた口調で聞こえてきた。
「…少年?」
声を掛けると、声の主は一瞬言葉に詰まった様子で、
「…こ、こんばんは」
ぎこちない挨拶を返してきた。
「こんばんは。どしたの、こんなクソ寒い夜に」
「いやぁー………ちょっと………」
ちょっと、の後に言葉は続かなかった。
なーん。
頼りなさげに鳴くクマ。触れても抵抗しなかったので、しゃがみ込み、そのまま撫でていると。
「…お姉さんこそ、その…どうしてベランダに?」
消え入りそうな声で、少年から話しかけてきた。
「あー…ちょっと考え事」
「そう…なんですね」
「うん。君も?」
「…ボクも、そんな感じです」
「そっか」
~ 続く ~
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