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このためにパリにきたんだな
旅立ってから1週間くらい、実はテンション低かった。今も爆上がりすることは、それほどない。
いやしろよ、ずっとパリに来たかったんだろ、と我ながら思うが、まず14時間のエコノミーフライトは退屈だし体痛いし(映画3本みて本1冊読んだ)、とても快適とは言えず、そもそも普段は車生活なので、スーツケースとバックパックなんて持って歩いたことなかったので、いきなり左肩が痛くなって、初めの頃は不安で仕方なかった。こんなことなら、桶川でスーツケースとバックパック持って歩く練習しばらくしてればよかったと思った。
それでも人は慣れる。いつか慣れる。
肩の痛みはまだあるけど、たくさん持ってきたカイロを夜、背中に貼って寝ると少しは楽になった。
ちなみに日中は動き回るからか、更年期だからか、寒くて仕方ないという事態まではいかないのでカイロは使っていない。更年期がこんなときに役立つとは。
残りのカイロは、泊めてくれたホストにあげたりしている。
低いテンションで始まった憧れのパリ旅行だが、それでも、あーこのために来たんだなと思える瞬間が何度かある。
二十代の頃からパリとその周辺(ベル・エポックよりはその後の1920年代〜戦後らへん)に憧れていたのに、なぜかパリに行こうとしたことがなかった私にパリに行くチャンスが訪れたのは3年前。
詩の朗読(ポエトリーリーディング)の競技会(ポエトリースラム)の日本代表になり、パリで行われる世界大会に出場することになったものの、世の中はまだコロナ一色で、オンラインで参加することになった。
それ以前にも、外資系企業で働いていて、同僚はトレーニングで海外出張に行ったりしているのに、なぜか私にはお声がかからなかったりして、私は外国に縁が無いのかなーと勝手に思ったりしていた。
縁が無いと自分が決めれば、そうなのである。
バリに行くと決めたら、行くだけなのである。
誰が連れて行ってくれるわけでもなく、自分が自分をパリに連れて行ってやればいいだけの話なのだ。
そう思ったのが今年の春。それからの行動は飛行機のチケットを取り、宿を探し、あとはパリへの妄想をふくらませるだけ。この期間は本当に楽しかった。これだけでも満足してしまいそうだったが、やはり百聞は一見にしかずというのは本当で。
最初は路上の犬だか犬以外だかわからない生き物の糞やゴミにばかり目が行っていたわけだが、いやそれでも、あーこのために来たんだなと思える瞬間が何度かある。
パリのポエトリーのイベント(オープンマイク)に行ってみて、人々の(2つ行ったけどどちらも超満員だった)熱気と集中力を目の当たりにしたとき。
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サンジェルマン・デ・プレ界隈を歩いて、カフェ・ド・フロール、カフェ・ドゥ・マゴを見たとき。(この2つのカフェはサルトルとボーヴォワールが書斎同然に使っていたことで有名)早朝で、昼間の行列が嘘のように空いていた。入ることはしなかったのだけど。それらのギャルソンたちは本当に「誇りを持って仕事しています」の典型のようだったな。
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それから、先日、モンマルトルに行ったとき。モンマルトルは現地に住む学生のデイホストさんに案内してもらった。
モンマルトルといえば、映画「アメリ」という人も多いかもしれないが、私はあまり思い入れがない。それでもモンマルトルのメトロの最寄り駅 Abbessesに降り立った時、なんともいえない高揚感に包まれてしまった。
小さな子用のメリーゴーラウンド。ストリートタップダンサー。音楽。色とりどりのキャンディの売店。そして、サクレ・クール寺院のあるモンマルトルの丘へ続く階段。この日はワインのフェスをやっていて、ものすごい人出だった。
ちなみに、本当にミサンガ売りはいた!
手首にミサンガを巻きつけてお金を要求するというタイプの物売りがいると聞いていたが、実際の場面は見なかったものの、ミサンガ売りはいた!
余談だが、フランスに来る前にしいちゃんにこの話をしたら「私もやろうかな」と言っていた。おーい。
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それまで行ったパリの場所では思い出されなかった、映画「ディリリとパリの時間旅行」と「ミッドナイト・イン・パリ」の世界観がごっちゃになって私を襲い、かんったんに言うと、アガった。楽しかった!
デイホストのマチルダちゃんは私の息子と同い年。デザインの勉強をしてるって言ってたかなあ? 絵がとても上手。
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それまでのホストたちと同様、彼女とも限られた時間でたくさん話した。
特にホームレスへの感じ方は、今までで一番共感し合えた気がしている。
彼女は北の出身で、やはり生粋の都会っ子でないことが、少し影響しているのかな、と思えた。
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旅行中、しいちゃんの表情もどんどん緩んできて、サバ? と声をかけられたり、岸田奈美さんおすすめのシャンゼリゼ通りのカフェで店員さんに目がキレイ! と言われてクッキーもらったり。
【高級街のカフェがめちゃめちゃ繁盛してると思ったら、障害のある店員さんたちがいた話】
— 岸田奈美|Nami Kishida (@namikishida) October 5, 2024
仕事ができなくてヒマなんじゃなくて、それが大切な仕事になってて、度肝を抜かれた。(1/7) pic.twitter.com/qXmTwNuLvn
シャンゼリゼ通り、それほどあがらなかったけど、行くは行ったよ!
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この釣り師にしいちゃんは小銭をあげていた。
ここから歩いて、コンコルド広場に行く途中のベンチに銅像が座っていた、と思ったら、人間だった!(写真撮り忘れたー)
この人にも小銭をあげたら、銅像はしいちゃんにグータッチ? を求めてきた。べろを出したらピンクだったよ、てしいちゃん。
まあそんな感じで、旅は続きます。
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