映画『愛なのに』&『猫は逃げた』、城定秀夫監督×今泉力哉監督のコラボ2作がおもしろい。
これはおもしろい企画でした。
人気監督2人がそれぞれ監督・脚本でタッグを組んで一つは監督を、もう一作品では脚本を担当するという組み方で、2作品を制作するというものです。
企画としてもおもしろいし、作品としてもおもしろかったので今回この2作品を紹介してみたいと思います!
城定秀夫監督、今泉力哉監督とは?
城定秀夫監督は、Vシネマやピンク映画を多く手がけてきた監督です。
なので濡れ場などセクシーな演出には定評のある方です。
『性の劇薬』、『恋の豚』などとにかく作品を量産していて早撮りでも有名です。
その中で、青春映画『アルプススタンドのはしの方』が大ヒットして全然エロくない青春映画でも実績を残しています。
この作品はめっちゃ面白いのでおすすめです。
野球部の応援に駆けつけた高校生の会話劇なんですが、アルプススタンドの中央でなくてはしの方にいるだけあって"訳あり"な彼らの内面が徐々に見えてくるコメディです。
Filmarksのリンクを貼っておくのでどこで観れるか確認できます。
今泉力哉監督は、インディーズ映画時代から一貫してラブコメを手がけていて、こじれた恋愛群像劇の名手です。
中でも最近の『愛がなんだ』、『街の上で』あたりはもう最高です。
自分の好きな人は別の人が好きで、その人はまた別の人が好きで、、、
っていう関係性が転がり始めて笑いが起こるっていう本当によくできた脚本をつくる人です。
コラボ企画「L/R15」
そんな二人がタッグを組んだのが今回のプロジェクトです。
二人がそれぞれ脚本を提供しあって、相手の脚本で監督するというものです。
そしてルールがあります。
R15っていうところをルールにするのが面白いなって思いました。
なので2作品とも大人なラブコメに仕上がっています。
城定監督のセクシーな演出や、今泉監督のこじれた恋愛模様がどう化学反応を起こすのかが楽しみでした。
ではそれぞれ紹介していきます。
『愛なのに』 (2/25公開)
このポスターがすごくいいなって思います。
古本屋の店長に恋する女子高生がいい感じに表現されてます。
そして展開としてはこの店長には好きな人がいて、その女性は結婚するんだけど旦那は浮気していて、、、
というお得意の恋愛群像劇な今泉脚本のもとコミカルに展開していきます。
もうこれがおもしろい! 劇場も爆笑です。
そして、結構濡れ場が多いのも特徴。そこはさすが城定監督。女優さんはしっかり脱いで演じています。シーンも多めだしお得意の表現を発揮していきます。
あと注目の俳優さん。
女子高生役の河合優美は今最も注目な若手女優です。
『サマーフィルムにのって』のビート板役が印象的でしたが、『佐々木、イン、マイマイン』、『由宇子の天秤』、『ちょっと思い出しただけ』などなど昨今のいい映画に立て続けに出演しています。若手個性派監督の作品に次々と出演しては確実に爪痕を残してます。
そして、もう一人。
浮気男を演じている中島歩。
最近では濱口竜介監督の『偶然と想像』でもイケメンだけどちょっとクズみたいな役ですごい力を発揮します笑。深夜ドラマ『お耳にあいましたら』でもトップセールスなのにメンタル弱いみたいなイケメンだけどどこかダメな役が本当に面白くてハマります。
本作でも、浮気の言い訳がもうすごいし、浮気相手もあることを言われたりして本当にいいキャラです。
瀬戸康史もいつもの爽やかなイメージとは違って髭で大人しめな役なんですがすごくハマってていいです。
ミニシアターなんで公開館が少ないのですが、行ける範囲でやっている場合はおすすめです。
『猫は逃げた』 (3/18公開)
こちらは城定監督の脚本を今泉監督が撮っています。
『愛なのに』にちょこちょこ登場したネコのカンタが話の中心に入ってきているし、ちょい役で登場した毎熊克哉が主人公ということでちょっとしたつながりがあります。
離婚しようとしている夫婦に、それぞれ浮気相手がいて、、、というこちらもこじれた男女関係をコミカルな群像劇として描いています。
あとは、ネコのカンタをどちらが引き取るのかだけっていうところで話が進まなくなり、浮気相手がそれを解決しようと一計を案じるんですが思わぬことになっていきます。
こちらもコミカルで面白いんですが、注目ポイントとしてはオズワルド伊藤が出てくるパートが特に面白いです。
しかもその内容が今のニュースにタイムリー過ぎて奇跡のハマり方をしています笑
もう今のタイミングで観るのが絶対におすすめです!
それに修羅場なはずなのにまるでコントを見ているかのような掛け合いがもう最高です笑
この辺りの演出はさすが今泉監督。
恋愛群像劇な展開は城定監督が今泉監督の寄せて書いたんだとか。
こちらは公開したばかりですが、公開館がやはり少ないのでお近くの方はやっているうちにぜひ。
順番で観ないと、みたいなことはないのでこちら単体で鑑賞しても全然大丈夫です。
パンフもかわいい
それぞれ映画の脚本が収録されてます。
監督同士の対談やコラムもあって制作についてどうだったかも知れます。
それにそれぞれ見開きのマンガでちょっとしたアナザーストーリーも描いてあったりとコンテンツもそれなりにあります。
オレンジとピンクでデザインもかわいいです。
最後に
今回は売れっ子監督同士がコラボするというプロジェクトの企画がまず面白かったです。
そして、それを裏切らない監督たちもさすが。
キャストも日本映画で活躍するいい若手俳優だしとても見応えがありました。
インディーズだけどこういう面白い企画でヒットして、日本映画が盛り上がっていくといいなーと思います。
映画は面白いですし、日本のインディーズ界を応援する意味でもぜひ映画館へ。
最後までありがとうございます。
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