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いま映画館で鑑賞できるアカデミー"作品賞"ノミネート作!
3月25日(金)より『ナイトメア・アリー』、『ベルファスト』も公開されていよいよアカデミー賞関連作品が出揃って鑑賞できるようになりました。
特にアカデミー賞のメインである「作品賞」ノミネート作品がかなり出揃いましたので、これを書いているのがアカデミー賞直前(3月26日(日))ですが、いま映画館で鑑賞できるアカデミー賞関連作品を今回は紹介してみたいと思います。
ノミネートされてる時点で、かなりの良作なので受賞しなかったとしても映画館で鑑賞されることをおすすめします!
『ベルファスト』
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2021年 イギリス 98分
監督・脚本:ケネス・ブラナー
出演:カトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ドーナン
これ、めっちゃ良かったです!
ケネス・ブラナー監督の自伝的な内容の作品で、プロテスタントとカトリックの対立が激化する北アイルランドのベルファストを舞台に、ベルファストを離れるかどうか決断を迫られる家族を描きます。
主人公の少年がケネス・ブラナーの幼少期なわけですが、近所の友達とチャンバラして、好きな女の子がいて、大好きな家族がいてという故郷をモノクロのとてもキレイな映像で映し出しています。
それに音楽もいい! ヴァン・モリソンの楽曲がいい感じに入ってきます。
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マイティ・ソーのマンガを読んでるシーンもあったりして(後に監督してます)、そういう遊び心もなんかいい。
分断の世を描いた作品ではあるのですが、地域愛、家族愛にあふれた作品で最後には愛が勝ってほしいという願いが込められているようで、戦争が起こってしまった今だからこそ余計に染みる作品だと思います。
それに映画にもあふれていて、家族で映画館に行くシーンなんて最高です。
ぜひこのシーンは、映画館で観ていただきたいです。
▼どこで鑑賞できるかはこちら
『ナイトメア・アリー』
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2021年 アメリカ 150分
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ 脚本:キム・モーガン
出演:ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラー
『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞の作品賞を受賞しているギレルモ・デル・トロ監督、待望の最新作!
これも良かった。
見世物小屋に流れ着いた男が、小手先の技で名を上げるがやがてボロが出始めて、、という展開。
デル・トロが偏愛するフリークスがキーになりつつ、ダークなテイストで展開されるサスペンス。
往年の名作映画の女優のようにエレガントなケイト・ブランシェットだったり、ジャズな音楽だったり、衣装や美術など、ダークなんだけどどこか上品なテイストがいい雰囲気を醸し出してます。
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チャンスを掴んだ後に流れが悪くなるのですが、そこで主人公のとった行動は!?
昔話のように教訓めいたお話でもあり、最後の最後のオチには震えます!
これもぜひ劇場でチェックしてほしいです。
実はこちらは、元ネタとなった作品があります。
1947年に制作された『悪魔の往く町』です。
もし機会があればこちらもチェックしてみてください。
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『ドリームプラン』
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2021年 アメリカ 144分
監督:ライナルド・マルクス・グリーン
出演:ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、サナイヤ・シドニー
ウィル・スミスがアカデミー賞の主演男優賞を受賞する気満々の作品。
大坂なおみ選手も敬愛するウィリアムズ姉妹を素人ながらチャンピオンに導いた熱血親父をウィル・スミスが熱演しています。
ウィリアムズ姉妹が活躍していた当時、黒人選手って珍しいなー、くらいに思ってましたけど、本作で分かるのは想像以上の人種の壁。
当時なんて黒人は皆無で、お金のかかるテニスは白人ばかり。
そこに風穴を開けていきます。
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ウィリアムズ姉妹が勝ち進む展開は本当に爽快で、サクセスストーリーとしてしっかり面白いです。
そしてそこに、女性の活躍、人種差別、貧困の問題など現代的なテーマが盛り込まれていて賞レースを狙うような作品に仕上がってます。
日本でもボクシングの亀田三兄弟の父親とか独自の手法で自分の子供たちをチャンピオンにしちゃう人っていますけど、やっぱり世界にもいるんですね。
ウィリアムズ姉妹の父親リチャードは、強引で傲慢なその人柄で「キング・リチャード」と呼ばれいて、映画の原題となってます。
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『コーダ あいのうた』
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2021年 アメリカ 112分
監督・脚本:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリン、トロイ・コッツァー
これはシンプルにめっちゃい良い映画です!
誰でも泣いちゃうやつです。
家族がろう者の中で唯一聴者の子供が主人公なんですが、そういう環境の子供のことをコーダと呼ぶそうです。
CODA(Children of Deaf Adults)
家業の漁業を手伝いながら、大好きな歌に目覚めていくのですが、外部とのやりとりには通訳としての役目があり、家族が優先で自分をいつも押し殺してしまい、その狭間で悩みながらもある選択をし成長していく物語です。
こちらも家族愛の話であり感涙ものです。
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下ネタの手話なんかも出てきて、それを娘が通訳させられるという笑 面白い展開もあるんですがろう者の家族を演じているのが実際にろう者である俳優なんです。
本作は、フランス映画『エール』のリメイクでこちらは漁師でなく農家なんですがその他はほぼほぼ一緒でとてもいい映画です。ただこの時は、聴者の俳優がろう者を演じていました。ここに対する批判があったりします。
そういうところに対する意識も今では大切ですね。
そして全編にわたって音楽がいい!
フランス版と違ってアメリカの有名ポップソングがガンガンにかかってかなりテンションもアガります!
そして一瞬「無音」になるという、ろう者の側に立った演出もされていてそれがめちゃくちゃ秀逸なんです。どの場面でこの演出がされているかはぜひ鑑賞してみて体験してほしいです。
もう安心して観れて、誰にでも勧められるタイプの良作です。
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『ドライブ・マイ・カー』
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2021年 日本 179分
監督・脚本:濱口竜介
出演:西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか
いやー、もう日本映画がアカデミー賞に4部門もノミネートされたってこと自体が本当にすごいです。
しかも主要部門にも。
これに関しては以前にもnote書きましたのでそちらをぜひ。
海外でも知名度の高い村上春樹の原作の起用であったり、初めから海外を意識している作品ではありますが、ここまで評価されているのは本当にすごいです。
短編が原作なのに3時間という大作になっていたり観やすさという意味でもハードルあるのに、こういうアート系のアジア映画がアカデミー賞の作品賞にノミネートされる日が来るとは。
アカデミー賞も変わってきたなーってマジで思います。
それに濱口監督が何よりもすごい。
昨年公開ながら、まだまだ日本各地で上映中です。
2回目でもぜひ。
▼どこで観られるかはこちら
動画配信でも
動画配信で鑑賞できるアカデミー賞ノミネート作品も以前にnote書きましたのでそちらも参考に。
最後に
大きく取り上げませんでしたが、『ウエスト・サイド・ストリー』もあります。
こちらも素晴らしい作品で、まだまだ映画館でやっています。
スピルバーグの作品作りの上手さを改めて感じますし、ダンスももちろん、移民や多様性を問うメッセージにアップデートされていて現代でリメイクした意義も感じました。
『DUNE / デューン 砂の惑星』に関しては、技術系部門にかなりノミネートされていて、衣装・視覚効果・撮影・美術などあの世界観を作り出すためのスタッフがかなり評価されていることが分かります。
ポール・トーマス・アンダーソンの『リコリス・ピザ』だけが、授賞式までに鑑賞できない作品ですが、こちらも楽しみです。
そしてそして、どんな結果になるのか。
楽しみで仕方ないです。
また受賞結果についても書けたらいいなと思います。
最後までありがとうございます。