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『DUNE / デューン 砂の惑星』を観る前に!
話題作のデューンがついに公開されました。
初日に早速IMAXで観てきたんですが、はっきり言って傑作でした。めっちゃワクワクするし、思ってよりも全然分かりやすくて見やすかったです。
複雑な原作をかなりシンプルにまとめていたと思います。
とは言え、SF映画ならではの設定であったり、専門用語が出てきますので、最低限そこはおさえておくとより観やすくなるものをまとめてみました!
今回は、『DUNE / デューン 砂の惑星』をより楽しめるために、観に行く前に知っておいた方がいい情報をnoteに書いてみたいと思います。
何が話題なのか?
そもそもこの「デューン」とは何がそんなに話題なんでしょうか?
はっきり言って初耳という方も多いんじゃないかと思います。
なのになぜ? という疑問のところからまずいってみたいと思います。
<トピックス>
◎原作がすごい
◎映像化の試み
◎世界中の映画作家への影響
それぞれ掘り下げて紹介していきます。
◎原作がすごい
まずこの原作がすごいんです。
SF小説の金字塔的な位置付けでして、壮大な世界観、複雑な人物や勢力の相関、特殊能力や巨大生物や戦闘機などのガジェット、当時の社会情勢などが盛り込まれた背景などなど、読む人をみんな魅了してしまいます。
僕は未読なんですが、フランク・ハーバートによって1965年に発表された第1作目『デューン/砂の惑星』が人気となり、続編が次々と発表され1986年にハーバートが死去するまで続きました。
<原作小説>
第1作目:『デューン/砂の惑星』
第2作目:『デューン/砂漠の救世主』
第3作目:『デューン/砂丘の子供たち』
第4作目:『デューン/砂漠の神皇帝』
第5作目:『デューン/砂漠の異端者』
第6作目:『デューン/砂丘の大聖堂』
新訳版の小説が発売されてまして、こちらは上中下巻です。
これは読んでみたいと思ってます。
◎映像化の試み
この「デューン」は、映像化は難しいんじゃないかと言われていましたが、何回も映像化の試みがされています。
まず白羽の矢が立ったのが、アレハンドロ・ホドロフスキーです。
『エル・トポ』、『ホーリー・マウンテン』などのカルト映画で話題となっていた作家で、この超大作の制作に取り掛かりました。
その時に発表していた参加メンバーがとにかくすごい!!
オーソン・ウェルズ、サルバトール・ダリ、ピンク・フロイド、ミック・ジャガーなどなど、今となっては伝説の人々!
ホンマかいな、というくらいのすごい人選です。
この企画はホドロフスキーの構想や制作費が凄まじすぎて風呂敷を広げすぎて頓挫してしまいます。
この辺りの経緯をホドロフスキー自身が語ったドキュメンタリー映画が数年前に公開されたんですが、これがすごい面白いです。
▼『ホドロフスキーのDUNE』
その後、ついに映画化したのがデヴィッド・リンチです。
原作に忠実に映像化したものの、こちらはかなり酷評で駄作とされていてデヴィッド・リンチ自身もなかったことにしたいと言うほどでした。
その後、ドラマ版も制作されました。
こちらは映画版で描ききれなかったところを描いたもので、評価としてはまずまずのようです。
◎世界中のSF映画への影響
そしてすごいのが、この「DUNE」が世界中の映画作家へ影響を与えているところです。
最初の映画化される際に、「DUNE」のストーリーボードが各映画会社へ配られたそうで、そのあまりの出来栄えに皆が熱狂して映画化を熱望したそうです。
これによって、この世界観が映画業界に広く知れ渡るようになったようです。
『DUNE』ストーリーボード
この「DUNE」によって、その後のSF映画はすごく影響を受けました。
その代表作としては、やはり『スター・ウォーズ』シリーズです。
そうなんです。あのSF映画の代表格のスターウォーズはこの「DUNE」の影響を多大に受けた作品なんです。砂漠の星だったり、そこに巨大生物がいたり、フォースと言う特殊能力を持つ人々がいたり、親子の世代に渡る物語だったりと色々と似通った部分があります。
その他にも『エイリアン』だったり、『アバター』や『プロメテウス』など色々な作品に影響を与えたと言われていますが、その中で気になるのが『風の谷のナウシカ』です。
人が住めなくなった荒廃した大地に巨大な蟲という世界観は確かに似ています。そして、わずかなエリアに集落があって人々はそこで暮らし過酷な自然と共存しています。
『DUNE』の設定
さて、いよいよ「DUNE」の設定について紹介していきます。
時は、10190年(めっちゃ遠未来!)。
人類はコンピューターの類を捨て、精神を拡張させて能力を得ている。
宇宙は帝国によって統一されていて、皇帝に忠誠を誓う大領家たちが、各惑星を支配しているという世界です。
日本史で例えるなら、天下統一した豊臣秀吉の下で徳川家康や伊達政宗などの各大名が豊臣家に忠誠を誓いながらも各地を治めているって感じです。
(徳川家康も秀吉によって、故郷の三河から江戸に転封させられてます)
『DUNE』の世界を図にしてみました。
主人公の一家は、アトレイデス家です。ティモシー・シャラメ演じるアトレイデス家の王子ポールが、この物語の中心となります。
<あらすじ>
皇帝から惑星アラキスに移転するよう命じられたアトレイデス家は、水の豊かな母星カラダンから一族で移住をする。
砂の惑星デューンと呼ばれる惑星アラキスは、過酷な砂漠の地だが宇宙の資源と言われる香料(スパイス)の産地で、ここは長年アトレイデス家と対立するハルコンネン家が治めてきた。
そしてこの砂漠には先住民フレメンや巨大な砂虫・サンドワームなどの障壁もあり、さらにハルコンネン家の怪しい企みもあった…
『DUNE』の専門用語
それでは、図にも載ってる専門用語を紹介していきます。
この辺りをおさえておけば、映画観ててついていけなくなることはなくなります。
名前が難しいのですが覚える必要はなくて、大体の意味が分かってれば大丈夫です。
<アトレイデス家>
大領主連合の中でも特に勢いがあり大きな力を持つ大領家。
勇気と人徳をあわせ持つレト・アトレイデス公爵が率いており、後継者は息子のポール。
ガーニイ・ハレックや、ダンカン・アイダホなど有能な部下にも恵まれる。
<ハルコンネン家>
惑星アラキス(デューン)を長年支配してきており、そこで産出される貴重な宇宙の資源である香料(スパイス)を独占し、莫大な資産を築いてきた大領家。
ウラディミール・ハルコンネン男爵による恐怖政治が敷かれており、アトレイデス家とは数百年にわたり対立している。
ハルコンネン男爵は浮遊装置によってプカプカ浮いてます笑
<フレメン>
惑星アラキス(デューン)の先住民で誇り高き砂漠の民。
過酷な砂漠に順応しており、体内の水分を外に出さず水にする特殊なスーツを身にまとい、”砂歩き”という砂虫(サンドワーム)に気づかれない歩き方をする。フレメンは”メランジ”と呼ぶ香料(スパイス)によって目は青い。
<砂虫(サンドワーム)>
惑星アラキス(デューン)に住む、巨大な蟲。大きいものでは体長400mにもなり、何でも飲み込んでしまう。
<香料(スパイス)、メランジ>
フレメンがメランジと呼ぶ砂漠の資源である香料(スパイス)。
アラキスのみで産出される。
人間の精神を拡張する万能薬であり、宇宙船の燃料であるというとんでもなくすごい資源。健康維持や宗教的な幻覚剤としても使用されている。
砂漠の資源ということで石油だったり、麻薬だったりのメタファーになっていて、外からきた人間が現地の資源を吸い上げたり、資源を巡って大勢力同士が対立したりすることを揶揄しています。
<ベネ・ゲセリット>
政治決定にも関与する女性だけの秘密結社。特殊能力「ボイス」を使う。
ポールの母レディ・ジェシカもベネ・ゲセリットの教母のもとで修行を積んでおりボイスを操る。ジェシカは、教母に女児を産むように言われるが、夫レトの後継者のため男児ポールを産んだ。
「スター・ウォーズ」でいうフォースのような特殊能力を使う人たちです。
ポールも母から教わりボイスを多少使えます。
<クウィサッツ・ハデラック>
ベネ・ゲセリットたちが覚醒させようとしている超人的な能力を持つ存在。
教母は、ポールがクウィサッツ・ハデラックではないかとテストをする。
<リサーン・アル=ガイブ>
フレメンの伝説で「救世主」を意味する。
ポールが惑星アラキス(デューン)にやって来た際に、フレメンたちがポールを見て「リサーン・アル=ガイブ」と口にする。
<カラダン>
アトレイデス家の母星で美しい空と豊かな水のある惑星。
彼らは皇帝の命を受けてここから一家を引き連れて砂の惑星デューンへ移住する。
さあ、ここまで図にも書いてある用語を中心に紹介してきました。
覚えにくい名前なんで、いきなり聞くとちょっと覚えづらいですが意味は難しくないので覚えておくと映画観た時に、「初めましての単語を覚えるのに必死でスートリーについていけない」なんてことにならないです。
公式サイトでも設定や用語は載ってますのでそちらも参考に。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とは
さて、ここでこの映画を監督したドゥニ・ヴィルヌーヴについても少し紹介したいと思います。
カナダ出身の監督で、近年では『ブレードランナー2049』や『メッセージ』など傑作SF映画を撮っています。
特に『ブレードランナー2049』は、SFの名作映画の続編だけに相当なプレッシャーで十字架を背負った仕事だったはずですが、うるさ方を黙らせる見事な仕事をしてみせました。
それだけに、この映像化不可能と言われ、過去作も失敗してきた本作を成功させることができる数少ない監督だったかもしれません。
最近はSF作品で有名なのですが、元々SF作家ではありません。
結構作るたびにジャンルが変わるようなタイプの作家で、でもどんな作品でも高いクオリティで仕上げてくる現代の映画監督では間違いなくトップランナーのひとりです。
共通しているポイントとしては、徐々に事態が明らかになってくるハラハラするサスペンス的な演出と、圧倒的な映像美で映画の世界の引き込んでいく力を持っているところです。
『DUNE / デューン 砂の惑星』の見どころ
長くなりましたが、いよいよ本作の見どころを紹介していきたいと思います!
◎美術がすごい!
この映画、とにかく美術がすごいです! もうめっちゃ映像がキレイ。
ずっと見てられるような美しさです。
それに、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督って本物思考なのでグリーンバックであとはCGでやっときますみたいなことは絶対しません。
なのでちゃんと砂漠で撮影もしています。
砂漠はヨルダンで、カラダンはノルウェーで撮影しているそうです。
◎ティモシー・シャラメが美しい!
まさかこんなに思うと思いませんでしたが、やっぱりティモシー・シャラメは見惚れるほど美しいです笑
IMAXの大画面に完全に耐えうる美顔でした。
ポールは16歳くらいの役なのですが、華奢で童顔なので少年のようにも見えるし、スラリとした姿は王子様って感じです。
◎世界観がすごい!
原作では複雑な設定ですが、映画ではとても分かりやすくシンプルになっています。聞き慣れない専門用語や、特殊な設定はありますが、ものすごく簡潔に整理されています。
ざっくり言うと「資源を巡っての二大勢力の対立」と言う内容です。
美術がすごいと言うのもあり、DUNEの世界観をめっちゃ感じることができます。冒頭で皇帝の使者からこの辞令を受けるシーンがもうカッコいい。
とにかく美術が素晴らしいのでこの映画の世界に一気に連れていかれます。
◎音楽がいい!
この映画の壮大な映像美にマッチするものすごく重厚な音楽がついてます。
音楽を手がけたのは映画音楽の巨匠ハンス・ジマーです。
ハンス・ジマーは、クリストファー・ノーランの作品などを手がけてきてますが、『DUNE / デューン 砂の惑星』をやるためにノーランの新作『TENET テネット』の音楽を断ったそうです。
本作では、日本人からするとお経みたいな音楽もありました笑
最近では、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』もハンス・ジマーです。
◎社会的テーマも盛り込まれてる!
1960年代に書かれた原作ですが、資源を巡って先進国が資源国に多大な影響を及ぼしていることは今でも一緒です。
そして、外から制圧するのか、それとも中に入って協調していくのかで、アトレイデス家とハルコンネン家のスタンスの違いのように社会的な問題点も感じさせます。
この辺りは、アラブの部族との関係性を中から変えようとした名作『アラビアのロレンス』にも影響を受けています。
『アラビアのロレンス』もヨルダンでの撮影でした。
◎IMAXがおすすめ!
全国で大規模の公開されている本作ですが、やっぱりIMAXで観るのがおすすめです。
なぜIMAXがおすすめなのかと言うと、この作品はIMAXカメラで撮影されているシーンがめっちゃ長いんです。
IMAXカメラで撮影すると通常の横長のワイドな画面の上下が更に広がり、かなり大きな画面で見れることになります。
砂漠のシーンなど広大な自然を写す場面ではIMAXの映像が多用されているんですが、IMAXフルサイズで写せる劇場でないと制作側が意図した画面を100%受け取ることができないので、ちょっと遠出してでもIMAXがおすすめです。
おまけ
『DUNE』に登場する飛行機で、オーニソプターっていうトンボみたいな乗り物があるんですが、これがいいんです!
4枚の羽を上下にバタバタと振動させて飛び上がって、ヘリコプターのように自在に飛行します。ガジェット好きにはたまらないんじゃないでしょうか。
それに小説に出てくるこのオーニソプターを宮崎駿がビジュアル化するにあたって悩んでる資料があったので、おまけで載っけておきます。
後に『天空の城ラピュタ』でハエのようなオーニソプターが登場してるのは、誰もが目にしたことはあると思うので、そんなとこにまで影響を与えていた『DUNE』の凄さが改めて感じられますね。
こちらの予告編から、動くオーニソプターを見れます。
あとInstagramでも割とカジュアルに映画紹介を日々しています。
こちらもよろしければチェックしてみてください。
最後に
やはり、やや長くなってしまいましたが、流し読みでも多少この設定や用語を知っておけば、映画の内容自体は「資源を巡る二大勢力の対立」と言うとてもシンプルなものなので、映像の綺麗さやもうちょっと細かいところまで気にできる余裕ができると思います。
そしてパンフレットには用語解説や評論家の方々のコラムも載っていますので、こちらも合わせて読むと更に映画深くしれていいと思います。
あとは長い原作小説を読めば完璧ですね。
そしてちょっとだけ言っちゃうと、映画の冒頭にタイトルがドーンと出るのですがよく見ると小さく「PART ONE」って書いてある。
ぼくは全然知らなかったので、「え!続編あるのー?」って驚きました。
知ってる人は知っていたみたいですが。
とにかくめっちゃ面白い大傑作。
SF好きなら間違いなく好きだと思います。
最後までありがとうございます。