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【読書】巻末の解説は単なるオマケではありません!?
文庫本の巻末にある解説文って
みなさんはどうしてますか?
解説文は、ほとんどの場合、
本編作者のリクエストする
作者やクリエイターですよね。
また、逆の場合もあります。
「あの作品が文庫になる時は、
その巻末解説、私にやらせて〜」
と頼まれてそれが実現する場合も
ありますね。
さて。巻末はいつ読みますか?
先には読まず本編を読み終えてから
解説を読むのが王道でしょう。
でも、私はちょっと違うんです。
ネタバレも余り気にしません。
文庫を手にしたら、
巻末解説を真っ先に開きます。
それで、その解説者が
とても好きな作家なら、
安心しますね。
また、本編作家と解説者の
マッチングがピッタリな場合もまた
嬉しくて、買っちゃいますね。
開高健『最後の晩餐』の巻末に
角田光代が解説を書いていたと
知った時には、
角田光代が開高の食エッセイに
深い影響を受けてることは
有名な逸話でもあるので、
俄然、買いたくなりました。
ブコウスキーの放浪小説の巻末に
町田康が解説を書いていたら、
町田康好きなら、やはり、
その文庫を買いたくなるでしょう。
なにやら絶妙なマッチングだから。
川端康成『眠れる美女』の文庫には
三島由紀夫が解説を寄せています。
これはもう買いですよね。
ただ、他人の本の解説を、
引き受け過ぎていると、
「この人はなんでもいいのかな?」
と信頼感がなくなってしまう作家も
いたりしますね。
その作家やその作品が
まだピンと来ていない場合、
例えば、私にはカズオ・イシグロが
そうした作家なんですが、
そんな場合は巻末解説が
大切な役目を担ってきます。
たとえば、カズオ・イシグロの
文庫を見てみましょう。
『日の名残り』の巻末は、
イギリス文学に詳しかった
作家の丸谷才一が解説を書きました。
『わたしたちが孤児だった頃』では
作家の古川日出男が、
また『浮世の画家』では小野正嗣が、
『わたしを離さないで』では
翻訳家の柴田元幸が、
『忘れられた巨人』では
書評家の江南亜美子が解説を
書いています。
どれも渋くて絶妙な作家や文章家を
解説に充てていますね。
もはや、本編と解説文は
ワンセットで考えた方が良さそう。
ちなみに、
どんな解説者がいちばん
印象深かったのか?考え、
思い浮かんだのは、
集英社『手塚治虫名作集』の
第2巻だったかな?
『雨ふり小僧』の巻末でした。
毒舌で知られた落語家の
立川談志の解説が
載っていたことでした。
毒舌なはずの立川談志があんなに
ロマンチックな語りをみせながら、
手塚を称賛する文章を書いていた、
そこに涙を誘われました。
(汗)。
追伸
そういえば、
文庫化して大ヒットした
ガルシア=マルケスの
『百年の孤独』の巻末解説は、
重鎮・筒井康隆でしたね。
トップクラスの作家にしか託せない
大事なスポットだったからでしょうか。
そういえば、
谷崎潤一郎
『陰翳礼賛・文章読本』が
新潮文庫から出た時も、
巻末解説はやはり筒井康隆さんでした。
ここぞという時には、筒井康隆!
というのが新潮文庫さんの奥義らしい。