佐藤正午、佐藤亜紀、佐藤賢一、佐藤泰志、この4人の共通点は??
あの、佐藤正午に
こんな日が来るとは
思いもしなかった。
恥ずかしがり屋の
この作家がまず一番
びっくりもし、
喜んでもいるにちがいない。
『月の満ち欠け』で
5年前に直木賞をとり、
それが映画化される日が
くるなんて。
映画は12月に公開だ。
佐藤正午は、
伊坂幸太郎が尊敬し、
敬愛するような実力高い作家だ。
それは、読めばわかる。
恋愛小説に見せかけたり
ミステリーに見せかけるけど、
実は人間の本質を掴もうとする
ストイックな作家だ。
すばる文学賞、
山田風太郎文学賞、
直木賞をもらっている。
映画化も何作もある。
なのに、
普通の本屋さんにはまず
置かれていない。
小規模の本屋でも、中規模でも
置かれてるのは見たことがない。
佐藤正午の文庫を得たいなら
結局、大型書店に行くしかない。
大型書店でも、
数冊あればいいほうだ。
結局は、
本屋で取り寄せか、
アマゾンや楽天ブックスで
買うしかなくなる。
これだけ、小説が旨くて
実力も確かなのに、
売れていないのか?
不運な作家かもしれない。
そういえば、
書評家の豊崎由美さんも
そうした意味で悔しがっていたのが
佐藤亜紀さんだ。
私はしばらくまで
佐藤亜紀の存在を知らなかった。
おっかない書評家の
豊崎シャチョウには叱られそう(笑)。
佐藤亜紀は、
日本の小説世界では
すごく馴染みにくい作家かも
しれない硬派な作家だ。
ヨーロッパを舞台にする
歴史小説を、佐藤亜紀は、
ずっと手掛けてきた。
テーマは、毎回ちがう。
だからテーマが掴みにくい。
角川文庫では何冊かは
わりとすぐ手に入るけど、
どれも渋いテーマや設定です。
こんなに「売らんかな精神」が
溢れてる今の日本で、
そんな反骨な作家がいるなんて、
日本の小説世界も、悪くない。
あ、そういえば、
ナポレオンやフランス革命を
実に細やかに描いている、
佐藤賢一という作家もいる。
生き辛いという少女も
貧困から抜けだせない30男も
作品には出てこない。
日本のラノベやキャラ設定など
佐藤賢一には、関係ない話なのだ。
西欧の歴史に現れた実在の
偉人や庶民を丁寧に描きながら、
歴史という「生き物」を
描こうとする。
佐藤賢一も、
小、中規模の本屋には
残念ながら置かれてはいない。
あれ、
佐藤正午、
佐藤亜紀、
佐藤賢一、
みな「佐藤」さんだ!
まあ、佐藤という名字は
メジャーだから、
騒ぎたてるわけでもないけれど、
こんなに実力があり、
しかも、みなベテランで、
しかも、なかなか本屋に
置かれにくい作家が
揃うなんて、、、。
もちろん、佐藤という名字で
佐藤愛子さんら
ベストセラー作家もいますが、
先にあげた3人の作家は、
売れることには
手を出さないようにしよう!
といったモットーでも
持ってるんじゃないか、
そう感じてしまう。
あ、そういえば
村上春樹とほぼ同時期にデビューし、
村上春樹よりも期待されていた
佐藤泰志という作家もいました。
芥川賞を何度か取り逃して
自殺してしまった不運な作家でした。
佐藤という名字の作家は
不運がまとい付き易いのかしら?
今日も私は、佐藤亜紀の
『黄金列車』で
1940年代のポーランドが舞台の
小説の続きを、読まなくちゃ。