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青春短歌:制服の不思議な力に妹は気付かないままスカートを折る

最近ハマっている
穂村弘さんの『短歌ください』。
また、どうしても皆さんに
ご紹介したい短歌を見つけました。
「制服の不思議な力に
妹は気付かないまま
スカートを折る」

『短歌ください』角川文庫、
2冊め、p192より、
詠み人は、女性、20歳。

読んでいて、うっとりしました。
選者・穂村さんのコメントは
「制服の不思議な力ってなんだろう。
魅力?防御力?権力?」。

制服は力を持っている?
たしかに、制服を着てる人たちには
特権がありますね。
あくまで10代の数年間しか
着られない縛りがまた
制服を魅力的にしています。
この歌を詠んでるのは、
学生時代を通過したお姉さんか。
懐かしそうな、羨ましそうな、
心配そうな…?

青春って自分は過ぎ去ってから
気付くものなんでしょうか?
切なく儚い短歌ですね。


もうひとつ、今度も
若い方の短歌を。

「今あたし
エンドロールを眺めてる
君の体温右に感じて」

詠み人、女子、16歳。
こちらも『短歌ください』
2冊め、p44より。

これは映画館でのデートかな。
映画より隣の人が気になって。
いやあ、緊張感が伝わります。
エンドロールでもまだ無言で
二人前を向いていて。
でもきっとお互いに頭の中は
相手への思いでいっぱいですね?


最後は、ちょっとガラリと
気分を換えまして。

「爆弾が普通の人の何でもない
弁当箱を博物館へ」

『短歌ください』2冊め、p246より
詠んだのは28歳男性。
広島の平和記念資料館に
展示されている、焼け焦げた
弁当箱がモチーフだそう。

選者・穂村弘さんのコメントに
「弁当箱というモノに徹した
視点がいいと思います」と。
なるほど。
戦争反対と声高に叫ぶのではなく、
無言のまま佇む武骨なお弁当箱が
一番雄弁に語ってくれるよう。

短歌の面白さをつくづく
満喫できました。
『短歌ください』穂村弘、は
まだ文庫になってない
ハードカバーも含めて、
全5巻の人気シリーズです。

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