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【本】「言い換え図鑑」の正しい読み方とは?

本には、どれくらい力があるのか?
というか、
私は本にどんな力を期待してるのか?

今年最も売れたビジネス書の一つ、
『言いかえ図鑑』があります。

正式タイトルは
『よけいなひと言を
好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』
大野萌子著。
サンマーク出版。

どんな素晴らしい知恵が
書かれているんだろう?
今年の年間ベストセラーだし、
ワクワク。

いざ、開いてみると
良く聞く言いかえの例文が
書かれているばかり。
珍しくもない例文集でした。

「つまらないものですが」は
「気持ちばかりですが」にと
言い換えよう。
「疲れてる?」は
「元気だった?」に言い換えよう。
そんな言葉たちが並んでる。

たしかに、
言いかえられた例文の方が
好もしく思える。
でも、それは小手先というか、
テクニックのレベルに見える。

そもそも、人間性を鍛錬しようという
考え方ではなかったのかあ、
とちょっとガッカリ。

言いかえが必要になるのは
そもそも、なぜだろう?

それは、人間の心がもともとは
ネガティブだったり、
上から目線だったり
無神経だったり、
非常識だったりで、
言い換えが必要になるから?
ですね。

だとすれば、
変えるべきは、言葉ではなく、
自分の心のほうではないでしょうか?

それに、人間が何か
一言、口にするのって、
頭で何か言いたくなってから、
脳みその言語野で神経が発生し、
喉や舌、口を使って言葉にするまで、
1秒もかからないでしょう。
0.5秒くらいかしら。

その瞬間的な言葉の発生プロセスで、
言いかえ図鑑の真似をして
言いかえられるか?は
はなはだ疑問です。

言語の発生は早すぎます。

でも、もっと長期的に考えると、
この本のポテンシャルは
非常に高いかもしれない。

ちょっとしたビジネスマナーや
日常のエチケットのため、
というよりは、むしろ、
毎日暗記するくらい読み込んで
そういう言い方を
日常で、さっと口にできるよう、
血肉にするのが可能になるのでは。

そこまでしなくては、
この本はただの暇つぶし本に
なってしまう。
それは勿体ない、というか、
勿体ないと私は思う。

まあ、この本を書いた著者も
読んでる読者も
そこまで、人間の中身について、
その改善を想定しているのだろうか。

いや、もっとシンプルに
「言い換え」辞典を
作りたかったのでしょうか。

しかし
ハッキリしたことがあります。
この場合は、著作や編集者の
目論見など、気にしなくても
良いというか、
良い本とは、そんな目論見から 
既に自由で独立した存在なんですね。

「本はどんな力をもっているのか?」
それは読者側の心がけ次第、
ということでしょうか。

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