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【書く】文章の極意は、誰にも書けない話を、誰にもわかり易く書く。

「(1)作文の秘訣を一言でいえば、
自分にしか書けないことを、
だれにでもわかる文章で書く」

「(2)題名をつけるということで、
三分の一以上は書いた、という
ことになる。」

「(3)一度書いたものの冒頭や前半は、
だいたい要らない。
いきなり核心から入るのがいい。」

「(4)自分を指す人称代名詞は、
ほとんど全部、削ったほうがいい。」

「(5)優れた文章書きは、
なるべく小さく千切ったものを
相手に次々に提供していく。」


いま、上記に並べた文章の技術は、
作家・井上ひさしさんの
『井上ひさしと141人の仲間たちの
作文教室』(新潮文庫)から
引用しました。

特に(1)は、
文章術の最初で最後の極意ですね。
これを守れたら、
満足のいく文章が書けるはず。

でも、毎回、この(1)が出来てるか?
それが非常に難しいんです。
日常にそんなドラマ的な出来事が
ある訳ではありません。
それに、凄くオリジナルな考えを
いつも振り回してる訳でもない。

いや、もしかしたら、
「自分にしか書けない内容」か?
曖昧だからでしょう。

つまり、みんなが思ってたり
誰でも書ける内容は、
もう人は今更さら読みたくない。
ありがちな話で終わる。

あとは、ありがちかな每日でも
自分にしか書けない解釈や
自分にしか思えない反応を
探していくしかないのでしょう。

これに対して、井上ひさしは
ズバリこう書いています。

「(6)自分を研究して、
自分が一番大事に思ってること、
辛いと思ってること、
嬉しいと思ってることを書く。」

自分がいま一番大事に
思ってることを書く。
そのためには、
自分の心を吟味し、研究する
必要があるんですが、
これがないと、
ただ漠然とした話になりますね。

私が陥りがちなのは、
まさにこれなんでしょう。

それ以外では、
(3)(4)もやらかしがちです。

しっかり?説明しようと、
冒頭や話の前半で、
ついつい説明しがちになる。
書く時って、状況や経緯やらを
説明したくなるんですよね。

でも、読者は核心を、
面白いくだりをまず話してほしい。
その良い見本が、
川端康成『雪国』の冒頭
「国境をこえると雪国だった」
だと井上さんは言います。
その日、何時に電車に乗ったとか
なぜ雪国に行こうとしたか、
ついつい書いてしまいがちですが、
それは必要ないと考えたところに
この文章の凄みがあるのでしょう。

(4)も、ついついやりがちです。
主語→述語、という文法図式が
頭にあるからでしょうか。

たいていは、確かに削れます。
主語を無くしていくほど、
井上さんによれば、
日本語は美しくなるそうです。

何かにつけ、何度も
読んできましたが、まだまだです(笑)。

新春ということで、
文章の基本を自分に刻むため、
書いてみました。
皆さんにもご参考になれば幸いです。

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