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【セレクト】村上春樹が日本文学講義に選んだ作品は何?あなたなら?
村上春樹にしては珍しい
日本文学の短編小説案内があります。
『若い読者のための短編小説案内』
(文春文庫)という本です。
これはアメリカの大学で
日本文学の講義をしたものです。
そこではこんな作品を
取り上げています。
吉行淳之介「水の畔り」
小島信夫「馬」
安岡章太郎「ガラスの靴」
庄野潤三「静物」
丸谷才一「樹影譚」
長谷川四郎「阿久正の話」
私はこの本を買ったとき、
どれも読んだことがなかったです。
日本文学には関心がなかった村上さんが
アメリカの大学生に
こんな作家や作品を
セレクトしたんだあ?
けっこう一番茶読んでるやないか〜い?
(笑)
結構、ディープな
日本文学の講義ですね。
アメリカの学生は、
一瞬、面食らったでしょうね。
ミシマ、タニザキ、アベコウボウ、
というラインでしょうから。
このリストを見て思うのは
作家のほとんどは
「第3の新人」ばかりだな、
ということでした。
第3の新人は、
主に個人の内面的な話を書いて、
社会や国家には無関心を
決め込んだところが、
戦後文学では珍しかったんです。
あんな大戦争に、
人生を大きく影響をうけた
人間たちなのに、
内面を見つめる?って、
そんな、、、。
というのが、当時の文学界の
反応でした。
ある意味、このチョイスは
春樹さんらしいですね。
戦争をもろに体験した
野間宏ら第1次戦後作家と、
三島ら未成年で戦争を体験した
第2次戦後作家までは、
戦争や国家や時代が書かれてきた。
それが第3の新人になって、
大きな社会観や正義感が
まるでなくなったことが
大きな衝撃、軽蔑の的になりました。
長谷川四郎さんだけは
第3の新人世代ではないですね。
それにしても、
この本は、春樹が
偶然にもアメリカにいた時に
大学で創作講義を頼まれて
機会を得た日本文学論でも
あります。
アメリカで、
そんな機会がなかったら
まだ春樹は
日本文学とは
正面きって向き合わなかった
かもしれませんね。
個人的には、吉行淳之介や
小島信夫や丸谷才一が好きです。
主題の選び方や文体のクネクネさは
非常に戦後小説らしさを感じます。
とはいえ、
古い、古びて感じるという
訳ではありません。
そこが戦後作家のすごいところです。
なぜ古びないのか?
それは、登場当初は
軽蔑されたであろう姿勢です。
社会や国家は扱わないで
自分の内面をテーマに選ぶ特徴自体が、
古びないからでは
ないでしょうか?
戦争を正面から書いた
戦争文学は、今となっては
ちょっとハードルが高いですよね?
ところで、
どこか外国に行って、
「おい、なんでもいいから
日本文学の講義をしてくれろ」
と言われたら、
あなたなら、どんな作家陣を
選びますか?
私ならどうしようかしら?
川上未映子、
小川洋子、
須賀敦子、
向田邦子、
幸田文、
この5人のエッセイで、
「日本の女性は今まで
何と戦ってきたのか?」
を主題にしてみたいと思います。
で、どんな内容か?ですって?
それはまた、おいおい、、、
ということで、別の機会に、、、、。
うん、そうしたおじさんの身勝手さこそ、
日本女性は我慢してきたんだよ!
は、は、はい!すいません。