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【クリエイターの肖像画】岩井俊二:観客の柔らかい所に温かく触れる魔術師。

岩井俊二マジック。
『ラブレター』と中山美穂。
『スワロウテイル』とChara。
『undo』と山口智子。
『打ち上げ花火』と奥菜恵。
『四月物語』と松たか子。
『花とアリス』と鈴木杏。
『リップヴァンウィンクル』と黒木華。

岩井俊二という監督に撮られると、
どんな女優さんも、
キラキラして見えるよう、
魅力が最大に引き出されて
いくんですよね。
どんな作品にもそれは言えて、
まるで魔法、マジックのよう。

岩井俊二が人に知られる監督に
なったのは『ラブレター』でした。
1995年。平成7年です。
私は23歳で、彼女と映画館に
いこうとしましたが、
異例なロングヒットで行列で
なかなか観に行けなかったのを
よく覚えています。

岩井俊二監督はまた
作品に使う音楽のセンスが抜群で
途中から数分チラ見して、
BGMを聞いたら、
あ?これは岩井俊二くさいなと
気がつくくらいです。

映像もやはり岩井さんのは
どこかソフトフォーカスしたような
温かいような儚いような印象が
特徴で、すぐに分かります。

こんな言い方をすると
センスでトンガった監督かと
思う方もいるかもしれませんが、
作品全体から受ける印象は
むしろその逆ですね。
ものすごくベタです(笑)。
分かりやすくて、安心感のある
表現を心がけてる方でしょう。
決してマイナーになろうとしない。
観てくれる人へのホスピタリティー。
それが彼が成功してきた
何よりの特徴のような気がします。

映画マニアで自分を通だと
自認する人たちの間では
岩井俊二は評価は低いですね。
岩井俊二が好きです、なんて
素直な感想を言うだけで、
なんだか笑われたりしました。

こういう作家、クリエイターって
どんな世界にもいますね。
その人の作品はとても人気で
たびたびヒットもするのに、
好きですというと、通な人から
ちょっと馬鹿にされるタイプが。
岩井俊二監督はその典型ですね。
かわいそう(笑)。
ひねくれた通には敬遠されるから
なかなかみんなが「好き」って
言ってくれないんだから(笑)。

『ラブレター』は見た時から
虜になりました。
中山美穂には特別な感情は
なかったのですが、
毎回泣いてしまいます。

今でも、日本の恋愛映画として
『ラブレター』は大きな存在ですね。
当時は、映画に恵まれた時代でした。
香港では『恋する惑星』の
ウォンカーウェイが大人気で、
台湾ではホウシャウシェンがいて。

それにしても、
岩井俊二は女優が一番きれいに
輝くためにその映画を作ったのかなと
思わせられる魔術師です。

今度は、誰を主役にして
映画を撮るんだろう?
今度、岩井俊二マジックに
かかるのは誰だろう?

センスが良くて、
映像美が抜群に冴えていて、
わかりやすい説得力で
観る人の柔らかい所を
温かく触れてくれる人。
それが岩井俊二監督でしょうか。

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