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【格言】名言は現実を救ってくれるのか?
名言・格言は人気コンテンツですね。
毎日、名言を挙げる方も沢山います。
スキ数も好調なことが多い。
名言好きな人が多いのは間違いない。
私も嫌いではありません。
ただ、座右の銘やモットーは
持たずにいようとしてきました。
ある名言を信じて、
知らず知らずに依存したり、
その言葉に束縛されてることを
何度か経験したからです。
それくらい言葉は、
深い力を持っているんですね。
言葉と現実は、ある意味、
パラレルな関係にあり、
重なることはめったにありません。
そうした「言葉と現実」の関係について
語った文章を読む機会があり、
なるほどと合点が行きました。
書いたのは村上春樹です。
ちょっと引用してみます。
「一冊の本が、一行の言葉が、僕らの傷を癒し、魂を救ってくれる。しかし言うまでもなく、フィクションは常に現実と峻別されなくてはならない。 人々はいつか本のページを閉じて、現実へとたち戻ってこなくてはならない。
我々はそのフィクションとはべつのところで、現実世界に立ち向かう自己を、フィクションと力を相互交換するかたちで、作りあげていかなくてはならない。」
『村上春樹雑文集』
新潮文庫。p258〜259より。
言葉(フィクション)とは別の世界、
つまり、私たちが身を置いている
この現実世界といつかは向き合い、
生きていかなくてはならない、
と言うのです。
現実から逃げて
自分が興味がある世界、
言葉で作られたフィクション世界に
いつまでも居続けたら、
どうなるのかしら?
その延長線上に、
オウム真理教に入信するような人がいる。
村上春樹は、言葉が持つ力、
フィクションの力、
言葉の力の功罪について、
こんな風に書いていました。
なんだか意外な気もしますが。
本を余りに読み過ぎる人にも
これは当てはまるでしょう。
でも、できるなら、
言葉やフィクションから
たくさんのパワーをもらい、
それで逞しい魂を作りあげ、
現実と立ち向かえられるだろうか?
私たちは言葉なしには
生きることはできないし、
現実から逃げ切ることもまた難しい。
名言からエネルギーをもらうことは
とてもいい。
でも、理想を言うなら、
いつか、自分オリジナルの名言を
作り出せたら最良でしょうね。