見出し画像

【幸福論】作家の幸福論、人生論について考える。

作家には、
作品以外に『私の幸福論』
と題したような、
幸福論や人生論の本が
たくさんあります。

夏目漱石『私の個人主義』
森鴎外『知恵袋』
三島由紀夫『太陽と鉄』
有島武郎『小さき者へ/生れ出づる悩み』
小林秀雄『私の人生観』
福田恆存『私の幸福論』
寺山修司『幸福論』
澁澤龍彦『快楽主義の哲学』
松本清張『実感的人生論』
筒井康隆『老人の美学』
大江健三郎『定義集』

どうでしょうか?
本格的な文豪から、
シニカルな評論家、
ロマンチストまで、
色々な人が、人生論、幸福論を
世に問うているのが分かります。

ただ、上記を書く前に調べて
気づいたんですが、
太宰治と芥川龍之介、
それから谷崎潤一郎には、
正面から書いた
幸福論も、人生論も、ないのです。
「本業は物語」主義者だったのか。
人間の幸福論も、人生論も、
すべて作品に込めてきたのでしょう。

彼らの小説の随所随所には、
人生論といえる文章はいくらでも
見つけることはできますね。

でも、1冊くらいは、
谷崎にも芥川にも太宰にも
書いててほしかったなあ。
正面切っての人生論。

あるいは、
ま正面から、人間の生き方を
伝授するような本なんて、
こっ恥ずかしくて書けない、
という一面もあったかもしれません。
太宰も芥川も天下一品クラスの
恥ずかしがりやですものね。

谷崎は、物語主義、創作主義だから、
人生論なんて書かなかったのは
よくわかるのですが。

ところで、一体、作家たちは
どんな内容のものを
書いていたのでしょう?

寺山修司の『幸福論』の
コンテンツをみてみましょう。

「目次
1:マッチ箱のロビンソン・クルーソー
2:肉体
3:演技
4:出会い
5:性
6:偶然
7:歴史
8:おさらばの周辺」

どうですか?
ちょっとびっくりしましたが、
「肉体」とか「演技」とかが
章立てになっているんですね。

想像がつかなかったあ。
「演技」や「肉体」は
寺山が演劇集団の主催者だから
でしょうけれど、
それと「幸福論」とが
どのように重なるのでしょう?

それに
「マッチ箱のロビンソン・クルーソー」
とは中身が皆目、見当が付きません。
もう何が書かれてるかワクワクしますね。

ふつう、凡人の私なら、
恋愛、青春、男と女、学習、お金、
仕事、家族、友達、嫉妬、中年、老年、
別離、死と終活、なんて話が
書かれてるのかな?と
思ってしまってました。

それはあくまで現代的な場合ですね。
時代を異にした、
独創的な作家の人生論は、
ちょっと手ごわいですね(笑)。

これからは、しばらく、
作家の幸福論について、
掘り下げて行こうと思います。

よかったら、お付き合い下さい。

いいなと思ったら応援しよう!