本選びで迷ったら?
本選びで迷ったら、
私は有名な作品より、
その1つ前の作品を試し読む。
直木賞や三島賞やドゥマゴ賞といった
気鋭作に送られる受賞作も凄いですが、
そのひとつ手前の作品は、
その作家がポテンシャルをフルに発揮し、
作家的な成功を必死に目指してる。
だから、こもった熱量が凄い!
才気が爆発する時ですね。
俗っぽく言うと、
最初の「上り坂」のピーク…!
たとえば、、、
向田邦子さんのエッセイでも、
最初に出した『父の詫び状』は
遺書のつもりで書いた、
気迫と思い入れで中身が充実してる。
それにより、
エッセイストとして認められ、
次に出した2冊め
『無名仮名人名簿』は、
更に技術が高まって面白い。
家庭の思い出や
仕事の苦い体験、
男女論や食べ物や猫の話など、
「エッセイスト」としての
ポテンシャルが縦横無尽!!
3冊め『霊長類ヒト科動物図鑑』は
もう出版界のトップランナーとして、
自信と風格が溢れてる。
安心して読める。
どれも面白いけど、
それでも、作品ごとに、
年齢や時期ごとに
変化、進化、成長してる。
時にマンネリや慢心も…。
そんな全部を知った上で、
今日の自分はどの向田邦子を
読みたいか?で、
朝、鞄に何を入れるか決める、迷う。
未読作家の場合も、
ウィキペディアで、
作品年表をじっくり
にらめっこしてると、
その作家がどの時期に
どんな風に書いていたか、
書斎での佇まいがじんわり漂ってくる。
作家はどんな天才や名人も、
生き物なんですね。つくづく。