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【受賞オビ】小さな本屋で見つけた反骨精神

よく行く小さな本屋さんは、
なかなかの反骨精神の
持ち主かもしれない。

今回の直木賞は
1月17日に受賞が発表され、
万城目学さんの
『八月の御所グラウンド』に
決まった、という日。

駅前の小さな、その本屋さんに
立ち寄ると、2冊、
棚ざしされていた。
背が見えるだけの状態。

その日は買わないでおいた。

おそらく数日中に
売れてしまうと予測しました。

あ、それにしても、
小さな駅前の本屋さんに
万城目さんの新刊単行本が
置かれていることは
なかなかなレアケース。
普通な、小さな駅前書店には 
万城目学は配本されるか微妙。
きっとこの本屋さんは、
問屋から優遇されているに違いない。

とりあえず本を手に取り、
中をパラパラ読んだけど、
インパクトは余りなかった。
ハードカバーは最近、
滅多に買わなくなったし。

それより、
私はその本屋さんで、なぜ
「直木賞、受賞!」みたいな
POPをつけたりして
アピールしないんだろう?
と疑問になった。
いわゆる企業努力みたいな…。

それから1週間が過ぎた。
万城目学の受賞作は、
ずっと2冊、棚ざしされたまま、
POPもつかず、
タレ紙もつかなかった。

不思議なのは、
受賞を大書した帯の本も
配本されてきたのに、
それは奥の棚に棚ざしされ、 
で、玄関付近の
話題本コーナーには
相変わらず、最初に入荷した、
帯が初版のままの2冊が
売れないまま残っていた。

それでその時、買うことにした。
レジに持っていき、
店主のおじさんに
ひとこと言ってみたんです。 
なるべく嫌味にならないように。
「これ、直木賞とったんですよね」

すると店主の目がちょっと光った
ように視えたんです。

「芥川賞や直木賞をアピールした
帯を好まない方もおられるからね…」

あ、そういうことか?
この人は私の疑問などお見通しだ。
最近、世の中は、
芥川賞や直木賞には
随分ミーハーになり過ぎてますが
本格派の本好きは、
賞をアピールした本や、
映像化をアピールした本を買うことを
好まない人も実はかなりいることを
すっかり忘れていました。

昔見た『アメトーク』の
読書芸人の回で、
オードリー若林や
光浦靖子たちは、
映像化に釣られて買うのは、
見識のなさ、
いい本を見極める才能のなさを
告白するようなもので、
できたら映像化が謳われる前の
発売時の帯の本を買いたいんだと。

なるほど。
みんながみんな、
直木賞を謳った帯本を買いたい
訳ではないのでした。

私は最近、文学賞の話に
浮かれていたなあ。
躍らされていたなあ(汗)。

たしかに、
そんな時代柄にあって、
初版時の帯の本を
返品せずにいつまでも売り続ける、
この店主さんはなかなかの
反骨精神の人だったのだ。

企業努力が足らないよ、
と思っていた私の負けである。
(汗)。

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