見出し画像

【正直】自分に正直に生きる人には魅力がない?

今日は『村上さんのところ』で
ちょっとした発見をしました。

私は、39才の時に
うつ病になって以来、
15年近く、こう考えてきました。

自分になるべく期待しない。 
他人になるべく期待しない。
恋愛になるべく期待しない。
他人になるべく興味を持たない。
一つのことに執着し過ぎない。

もともと根っ子では
これらのモットーとは真逆に
生きてきたからこそ、
心が壊れたんでしょうから、
うつを経て、
なるべく期待や興味や執着を
持たないことで、
人生で転ばないようにしようと
考えてきたのですね。

でも、今まで実は内心、 
こんな風に自分の心を抑えて
いつわりの自分を生きてきたことを
ずっと恥じてきました。

ところが、
村上春樹『村上さんのところ』では
ある村上春樹ファンが
こんな悩みを相談しています。

「自分に正直に生きる」

「自分に正直に生きるというのは、どういうことでしょうか?職業上、初めて会った人たちと調子よく話したり、興味ないことにも興味あるように振る舞ったり、自分に正直に生きている気がしないんです」
42才、女性。

よく分かりますね。
この方はとても心のコントロールが
上手で、しかも身の回りの人の
気持ちを察する優しい人なんでしょう。

この悩みに対して、
村上春樹はどう答えているでしょうか。

「人はみんな、それぞれに役柄を与えられて生きています。その役柄をこなすことと、自分に正直であることは必ずしも一致しません。というか、一致しないことのほうが多いかもしれません。人は多かれ少なかれ、その不一致をうまくすり合わせながら生きています。でもときどき、そのすり合わせに疲れてしまいます。
〜略〜。
自らに正直な自分だけを愛していると、人生はいささか薄く、一面的になっていくんじゃないかという気がしなくもない。
〜略〜」。

自らに正直な自分を通し続けると、
薄くなる?? 
なんだか、これには、  
思い当たる気がします。
自分に正直なだけの人は、
もちろん、いつでも正しく
正論であり、まちがってはいない。
たぶん、うつになる以前の私も、
甚だしく一面的で、
人間的にも薄いタイプだったことを
思い出しました。

自分の感情や思考が
たとえ正しくあろうとも、
そんな生き方で、
回りを振り回していては、
やはり、一面的な視野の人生に
なるでしょう。

それより、
自分の役柄だと諦めて、
現実の環境とすり合わせていく。
その積み重ねによって、
人生は多面的になって、
色合いも濃くなっていくらしい。

人間とは不思議なものですね。

だから、
もはや感情のままに生きることを
うつ病によって、
厳しく制限されることは、
何もまちがってる訳ではないんですね。

ちょっと安心しました。
やはり、自分に期待し過ぎたりせず、
他人に期待し過ぎないで生きる
ということは、あながち、
まちがいではないかもしれません。

人生はときどきシンプルで、
ときどき複雑で理不尽な時もある(笑)。

いいなと思ったら応援しよう!