寄付のチカラ~コロナ禍では寄付が伸びるも、事業収益は減衰
~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~
2020年、新型コロナウィルス感染症によって私たちの生活は一変させられました。世界そして日本もまた、未だにコロナ禍を生きています。一方で、ソーシャルの文脈では「寄付」が大きく注目されました。
では、実際に寄付を集める認定NPO法人では、コロナ禍の影響をどう受けたのかを、公開データから見てみようと思います。今回参考にするデータは『認定NPOデータンベース』(コングラント)になります。
1.寄付が伸びるも、事業収益は減衰
認定NPO法人全体(1,176法人)の収益については、下記の表になります。
▽図表1:認定NPO法人の全体収益-表
総収入は、2020年度では昨対比109%(約100億円)の増加となりました。
特に「寄付・会費」の伸びが顕著で、昨対比139%(約133億円)も増加しました。一方で、事業収益は昨対比92%、金額換算では約35億円の減少となりました(図表2,3を参照)。
一方で、コロナ禍において、認定NPO法人へ流れる助成金・補助金は、コロナ前とほとんど変わりませんでした。
▽図表2:認定NPO法人の全体収益-棒グラフ①
▽図表3:認定NPO法人の全体収益-棒グラフ②
ここで注目したいのは、「寄付・会費」と「事業収益」の割合が逆転したことです(図表4を参照)。
▽図表4:認定NPO法人の全体収益-円グラフ
2019年度では「事業収益」が40%で、「寄付・会費」が32%であったところ、2020年度は「寄付・会費」が40%、「事業収益」が34%となりました。
2.寄付が伸びたのは、二つに一つの法人
「寄付・会費」に絞って、「ドナーレンジチャート」から特徴を見てみようと思います(図表5を参照)
▽図表5:認定NPO法人の寄付・会費のドナーレンジチャート①
「寄付・会費」の金額が1億円以上ある法人は、2020年度は42法人で、昨対比で8法人の増となりました。比率で捉えると、2020年度では全体の3.6%の法人が総額の79%を占めており、2019年度よりも1億円以上の法人の存在感が強くなっています。
ここから、一部の団体だけが寄付を伸ばしているのでは、という疑念が湧きますが、実際はそう言い切れません。
次の図は、金額レンジごとの割合の変化を表したものです。
▽図表6:認定NPO法人の寄付・会費のドナーレンジチャート②
「1円以上1百万未満」の法人数は減少し、「1千万円以上」の法人数が増加しています。また、1,176法人について昨対比でみると、半分以上の法人で「寄付・会費」が伸びていました。
ちなみに、事業収益が伸びた法人は2割でした。
3.まとめ
コロナ前後で見ると、
「寄付・会費」は、昨対比139%(約133億円)の増加。一部の法人に限らず、二つに一つの法人で金額が伸びた。
「事業収益」は、昨対比98%(約35億円)の減少。8割強の法人で減少した。
「助成金・補助金」は、変化がほぼない。
と変化でした。
この数字から皆さんはどう解釈されますでしょうか。
最後に、2020年度で「寄付・会費」の上位30法人をピックアップしました。参考まで。
▽図表7:2020年度の認定NPO法人「寄付・会費」上位30法人
▽参考資料:『認定NPO法人データベース』(コングラント株式会社)
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